明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1570)高浜4号機蒸気漏れはパッキンへの異物混入が原因!不具合や人為的ミスが繰り返されている!

2018年08月24日 23時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20180824 23:00)

(注記:前々回の記事で加圧水型原発の構造を説明する際、一次冷却水がそのままタービンを回しているかのような記述をしてしまいました。
細川弘明さんのご指摘に基づきブログ・HP・Facebookの記事を訂正し、蒸気発生器で熱を二次冷却水に移してタービンを回していることを書き添えました。この点をお知らせしておきます。正確さを欠き申し訳ありませんでした)

台風が過ぎ去り、幸いにも死亡事故などは起こらなかったものの、淡路島で発電用の風車が倒壊するなどさまざまな爪痕も残りました。まだ土砂災害の危険性も残っています。
鉄道の運休も相次ぎましたが、僕も今宵は綾部の市議選応援に駆け付けるつもりがJR山陰本線が時間までに復旧しなかったので断念しました。(現在は動いています)。
今日はJR福知山線も宝塚より北で止まっていましたが、今は復旧したので明日は元気に篠山に行ってきます!

● 高浜4号機蒸気漏れはパッキンへの異物混入が原因?

さて再稼働を前に20日に高浜4号機が一次冷却水蒸気漏れ故障事故を起こしましたが、関西電力によって原因が発表されました。
原子炉上蓋にある温度計を収めた管の接続部分のパッキンに微小な異物が混入していたというのです。となれば点検交換時の人為的ミスだということになります。
高浜4号機は2016年2月29日に再稼働したときにも、発電した電気を送電線に流した途端にアラームが鳴り非常停止してしまう故障事故を起こしましたが、このときも原因は危険値の入力ミスでした。今回は誤っての異物混入です。

関電によるプレスリリースをご紹介しておきます。

前回、この故障は150気圧もの高圧で回している一次冷却系で起こったがゆえに危険性が高いことを指摘しましたが、これを目視で発見した作業員の被曝も大問題です。
一次冷却水の放射能汚染度は極めて高く、防護服を着ていても確実に外部被曝が起きています。労働災害に他なりません。
関電は「微量だから問題ない」と開き直っていますが、しかし「微量」というのは主観的なもの。どれだけの被曝量があったのか公開すべきです。
そもそも目視で点検している労働者の前で一次冷却水が蒸気となって噴出しているなど空恐ろしいことです。

● 再稼働した原子炉9基のうち5基で9回も故障事故が起きている!

この間、指摘してきたように、こうしたトラブルが再稼働の度に繰り返されています。(なお以下の記事の最後につけているかっこ内の数字は再稼働が強行されてから起こったトラブル回数です)。
最初にトラブルを起こしたのは2015年8月11日に再稼働を強行した川内1号機でした。稼働からわずか10日後に復水器内の配管にピンホールがあき、二次系に海水が混入しました。
ただしこれは二度目の不具合。再稼働前に原子炉以外の機器を立ち上げた直後の7日にも原子炉冷却水ポンプの軸の振動を測定している計測器の数値が異常に低下するトラブルを起こしました。(1)(2)

この後に再稼働を強行したのが高浜3、4号機で、後者がトラブルを起こしました。まずは再稼働直前の2016年2月20日に一次冷却水の浄化装置付近から34リットルの放射能汚染水が漏れ出しました。
一次冷却水から「不純物」を取り除く設備の弁のボルトが緩んでいたためとされましたが、関電はそのまま26日に再稼働を強行し、より大きなトラブルに。29日の送電開始とともに原子炉が自動停止してしまったのです。
発電した電気を送電線に送る部分にある検出器への入力を間違い、異常ではないのに検出器が「危険」と判断して非常ブレーキをかけてしまったのでした。(3)(4)

続けてのトラブルは伊方3号機で起きました。2016年7月26日の再稼働直前の17日に一次冷却水循環ポンプから水漏れを起こしました。
原因はこのポンプを稼働させているモーターの軸のシール部分が、耐圧試験で壊れてしまったためとされましたがこれは怪しい。(5)

2018年3月23日には玄海3号機が再稼働を強行しましたが、30日に蒸気発生器に水を送る配管の一部から蒸気漏れを起こして発電が停止されました。配管を覆う保温材の隙間から雨水が染み込み、パイプを腐食させて穴があいていたのでした。
当時の九電社長だった瓜生氏は思わず次のように言いました。「(運転を)7年間止めていたため『何が起こるか分からない』と言っていたが、現実になってしまい、非常に残念だ」・・・。(6)

玄海は4号機でもトラブルを起こしました。再稼働を前にした2018年5月3日に一次冷却水ポンプの故障事故を起こしたのです。
これは伊方3号機の事故とまったく同じ部分で同じように起こった故障事故でした。このポンプは同様の故障が各地の原発で繰り返し起きており、構造的欠陥が強く疑われます。(7)

そして今回の再びの高浜4号機のトラブル。1回目は19日で非常時に蒸気発生器に給水を行うポンプから制御油が漏れだしてしまいました。(8)
2回目は20日の一次冷却水が蒸気となって飛び出してきてしまった事態。原因は異物が混入していたこととされています。(9)

● こんなにトラブルが続くのは安全など確保されていない証!労働被曝も大問題!

再稼働に向けてどうしてこんなにトラブルが繰り返されるのでしょうか。端的に言えるのは原発が安全面から言って未完成な技術でしかないことです。だからどんなに慎重を期しても繰り返しトラブルが起きる。
その上、それぞれの原発が一度は長く止まっていたため、さまざまな不具合につながる要因をため込んでしまっているのです。
九電の旧瓜生社長がいみじくも言ったように「何が起こるか分からない」のが現状なのです。とてもではありませんが安全など確保されていません。

しかもこうした不具合が起こるたびに放射能漏れが起こり、現場労働者が立ち向かわなければならないのです。そのたびに確実に被曝が起きている。それを「許容範囲だ」とか数値の発表のなしに開き直って稼働を繰り返しています。

こんなもの、もう動かし続けていてはいけません!安全面から言っても。倫理面から言っても!
「トラブル続き被曝続きの原発の運転を止めよ」との声を強めましょう!

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