明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1895)内部被曝の危険性をいまこそしっかりとつかもう!(10月3日土午後2時からzoom講演します)

2020年10月01日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20201001 23:30)

本日二本目の記事です。以下のzoom講演についてお知らせします。



● 前進する反原発・反原爆・反被ばくの歩み

この間、原発・原爆問題の裁判で画期的な判決が続いています。

今年に入ってからでは1月17日に広島高裁で伊方原発3号機の運転を差し止める判決が下されました。地裁で運転停止の求めが却下されたことに対する仮処分申請の即時抗告審でのことでした。
7月末には広島地裁で「黒い雨」訴訟における原告側勝訴判決が下されました。国と広島市・広島県に対して、黒い雨が従来の認識よりも大幅に広い範囲に降り、内部被曝をひきおこしたことを認め、被爆者健康手帳の発行を命じたものでした。
そして昨日30日に、仙台高裁で福島原発事故に対する国と東電の責任を認め、原告約3600人に対して約10億円の賠償の支払いが命じられました。一審を継承しつつも、賠償額を倍に見積もりました。

裁判の他でも大きな動きがあります。今年に入って再稼働中のすべての原発が、新規制基準で義務付けられた「特定重大事故等対処施設」が期限までに完成せず、次々と止まっているのです。
3月16日川内1号機、5月20日川内2号機、8月2日高浜3号機が停まり、そしてこの10月7日に高浜4号機が停まります。
高浜原発は新規制基準に満たずに止まることがクローズアップされたくなくて、3号は少し前から定検に入り、4号は10月7日に定検入りしますが、どれも新規制基準を守ることができずに止まるのです。


川内2号機停止を報じた共同通信

この他、日立製作所が英国での原発建設計画からの完全撤退を止めるなど、原発の未来はどんどん狭まっています。
同時に黒い雨訴訟は、内部被曝の被害が従来の認識よりもかなり大きく広がっていたことを突きつけました。
同じく原発賠償訴訟も、一度原発事故が起これば大変大きな被害が出ること、国がそれに重大な責任があることを突きつけるものとなっています。

反原発・反原爆・反被ばくの歩みが進んでいます。


● キーポイントは内部被曝にある!(10月3日土曜日午後2時からzoomでお話します)

この動きをより確かなものにするための重大なキーポイントが内部被曝の危険性の把握です。
なぜか。現代の放射線防護学に基礎的なデータとなっているのが、広島・長崎への原爆投下後にアメリカ軍が排他的に行った被爆者の「調査」であったからです。
加害者が被害者を調べるというとんでもないものであり、アメリカはここで被害を非常に小さく見積もりました。

そのテクニックの基軸だったのが、被爆者が受けた放射線による傷害を主に外部被曝によるものと断定し、内部被曝による被害を切り捨てることでした。
アメリカはこのため爆心地からの距離だけで被害をカウントしました。原爆が破裂したときに放出されたガンマ線や中性子線を人々が浴びたことは否定しようがないので認め、反対に内部被曝を無視したのです。
実際には広島・長崎の上空に立ちのぼったキノコ雲は放射性物質の塊であり、成層圏に到達してどんどん横に広がり、やがて下降して黒い雨などになって広範な地域で人々を襲い、体内に侵入して大変な内部被曝をもたらしたのです。

アメリカはこれをまったくないものとしました。アメリカに追従した日本政府もこの立場に100%以上、従って来ました。
この歴史をしっかりとつかんだ上で、内部被曝のメカニズムをきちんと押さえ、私たちが受けてきた被害をしっかりつかむこと、つかんで「ほしょう」を求めることが大事なのです。
同時にこれをつかんでこそ、命を守る自助努力も可能となります。だからみなさん。いまこそ内部被曝についてしっかりと学びましょう!


「はだしのゲン」は内部被曝被害も実に的確に描いていた!

以上の点を京都のある大学の寮をお借りして3日午後2時からお話します。学生さんたちが招いてくださいました。1人の方は10歳で東京から避難した方でもあります。
といってもコロナの関係で寮に立ち入ることが難しくなったので、学生さんたちと相談してzoomでの企画にすることにしました。
以下、チラシの末尾に書かれた連絡先にアクセスし、zoomのアドレス・パスワードをゲットしてご参加下さい。

問い合わせ chika12308351@ymobile.ne.jp Tel:09081351834
SESC KYITI  Twitter:@KUSESC

#内部被曝 #黒い雨訴訟 #原発賠償訴訟 #原爆 #核なき未来へ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(1894)福島原発事故被災者による「生業訴訟」、高裁でも勝訴!画期的!

2020年10月01日 22時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20201001 22:30)

国と東電の責任をあらためて認める!

福島原発事故の被災者約3650人が、国と東電を訴えた生業(なりわい)訴訟控訴審で、仙台高裁は昨日30日、「大規模な津波が到来する可能性を事故の前に認識できたのに、国が東京電力に対策を求める権限を行使しなかったのは違法だ」と指摘。1審に続いて国と東電の責任を認め、原告3550人に計10億1千万円を支払うように命じました。素晴らしい!原告のみなさんに大拍手です。
この判決は全国で約30件行われている同様の裁判の中で、初めて高裁で国の責任を認めたもの。約2900人に計約5億円の賠償を命じた一審判決から賠償総額を約2倍に引き上げ、救済範囲も拡大しておりその点も素晴らしいです。


NHK NEWSより

高裁上田哲裁判長は次のように指摘しました。「国と東京電力は『長期評価』に基づく津波の試算を行って対策を講じた場合の、主に東京電力の経済的な負担などの影響の大きさを恐れるあまり、試算自体を避けるなどしたと認めざるを得ない」。
1審が国の賠償責任の範囲を「東京電力の半分にとどまる」としたことに対しも「国がみずからの責任で原発の設置を許可したもので、範囲を限定するのは相当ではない」などと指摘。東京電力と同等の責任を問いました。
この判決について、中央大学法科大学院の野村修也教授はこう語っています。「今回の判決では、原発事故を避けることができたかどうかについて、国が証明できないかぎり責任を負いなさいという考え方が示された。このような判断のしかただと、事故を避けられたかどうかが不明確でも、国が責任を負う可能性が高くなってくる。ほかの裁判所の判断にどう影響するか注目したい」。ニュースソースを示しておきます。

原発事故で国の責任認める 仙台高裁 2審で初めて
NHK 2020年9月30日 20時21分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200930/k10012641371000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001

国の責任、二審も認める 生業訴訟仙台高裁判決 賠償の対象拡大
福島民報 2020/10/01 08:20
https://www.minpo.jp/news/moredetail/2020100179526

被災者自らが国と東電の責任を明確化させた

これまで地裁段階では13の裁判所で判決が出て、すべてで東電の責任が認められたものの、国の責任を認めたのは7裁判所にとどまっていました。
国に責任ありとしたのは前橋・福島・京都・東京・横浜・松山・札幌の各地方裁判所。責任なしとしたのは千葉・千葉・名古屋・山形・福岡・仙台の各地方裁判所でした。
この間は、国の責任を認めない判決の方が多くなっていましたが、今回の仙台高裁の判決は、この間の流れを逆転させる位置を持ったものとなりました。


各地の判決の比較 毎日新聞より

こうした判決は、ひとえにこの裁判を担った原告を始めとしたみなさん。そして各地で裁判を担った来られた被災者のみなさんの営々たる努力によって生み出されました。
もちろんそれを取り巻いている私たちも奮闘を重ねました。まさに被災者自らの手で国と東電の責任を明確化させ、支援者がそれを確かなものとしました。
さらに僕はこの間の「黒い雨」訴訟、原爆症認定訴訟やノーモア・ヒバクシャ訴訟、そしてまた原発の運転差し止めを求めた各地の裁判などの積み重ねも、間違いなくこの判決を引き出す力になったと思います。

核の被害者の声が大きくオーバーラップしながら、今回のこの結果も実現できたのです。私たちはより大きく前に進みましょう!
そのためにもさらに各地の裁判で頑張りたい。僕自身は10月14日に午後2時半から行われる原発賠償京都訴訟控訴審に駆けつけます。大阪高裁本庁舎201号法廷の予定です。
またもう一点。これらの流れをより強いものとするために、いまここできちんと内部被曝の危険性について学びましょう。3日午後2時からにzoom講演を行います。次の記事で詳細をお伝えします!

#原発賠償訴訟 #生業訴訟 #福島原発事故 #国と東電の責任 #仙台高裁

*****

この記事に共感していただけましたらカンパをお願いできると嬉しいです。自由に金額設定できます。
https://www.paypal.me/toshikyoto/500

paypalをご使用されない方は、下記の口座にお願いします!
振込先 ゆうちょ銀行 なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
他の金融機関からのお振り込みの場合は 店名 四四八(ヨンヨンハチ)店番 448 預金種目 普通預金 口座番号 2266615 なまえモリタトシヤ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする