守田です(20161206 23:30)
このところたくさんの企画を駆け抜けてきました。その一つ一つで感慨深いことがあり、報告したいこと、しなければなあと思う事が多いのですが、残念ながらとても追いつきません。なんとももどかしい限りですが、なんとか来年はこれらをもっとまとめて出せるようにしていきたいと思います。
さて今宵はこの8日から12日まで再び台湾を訪問してくることをお伝えしたいと思います!
今回の訪問の目的は12月10日に行われるアマミュージアムの開設式に参加すること。ミュージアムのFacebookの公式ページができたのでご紹介しておきます。
https://www.facebook.com/pages/阿嬤家-和平與女性人權館-AMA-Museum/1704462136500653?pnref=story
アマたちは軍隊「慰安婦」問題=旧日本軍性奴隷問題の犠牲者です。でも膨大な数の犠牲者のほとんどが名乗りをあげられなかった中で、各国で勇気をもって告発をしてくれた方たちがいました。被害者の推定総数20万人の1%にも満たない数でしたが、彼女たちはそれぞれに大変な痛みを通して辛い過去を話してくださいました。同時にそれは彼女たち自身にとって、蹂躙された尊厳を取り戻していく過程でした。
僕はこの問題には言うなれば「前半」と「後半」があると感じています。「前半」はアマたちの本当に辛い経験であり、旧日本軍のあまりに惨い姿です。それは聴く側にとっても辛い時間です。
僕自身、ある大学の図書館でこの問題を調べている時に、中国戦線で日本軍の兵士たちが慰安所で行った蛮行の数々を読んで、ショックのあまり書架の間にへたり込んでしまったことがありました。行われたのはレイプだけではない。反抗した女性たちをみせしめになぶり殺すことまでがなされていた。しかも他の女性たちの前で。
その報告書を読んだとき、僕は怒りを通り越して呆然となり、人間不信の奥底に引きずり込まれるような感情に襲われました。正直なところ、あのとき僕は「もうこの問題に関わり続けたくない」とすら思った。もうこれ以上、人間の酷さを知りたくないという思が沸き起こってきたからでした。
これに対して「後半」は、そんな体験をくぐり抜けてきた女性たちが、カムアウトし、自ら体験を語る中から尊厳を取り戻していく階梯でした。僕は本当に幸運でもここに関わらせてもらうことができて、たくさんの勇気と感動を与えてもらえました。
僕が知り合えたのは全部で20人ぐらいのおばあさんたち。個人的にも知り合いになり、名前も覚えてもらい、幾人かはお宅まで訪ねてそのさまざまな横顔を知ってきました。
中でも親しくなったのは台湾のおばあさんたち。そのほとんどはもう亡くなってしまったのだけれど、京都に招いてみんなで合宿生活を行い、証言集会に出てもらった後に、金閣寺などの観光地で遊びまくったりもしました。そのとき、おばあさんたちの凛々しい姿と同時にチャーミングな姿もたくさんみました。
お酒の杯を重ねてゲラゲラと笑い合ったこともあった。ユニクロやドラッグストアで買い物に夢中になるおばあさんたちと店内をかけめぐったこともありました。
そんなおばあさんたちに、僕がかつて日本軍が行った事をあやまると、異口同音に「なんであなたが謝るの。謝る必要なんかないよ。私たちが謝って欲しいのは日本政府とあの時の軍人だけだよ。日本の若い人は大好きだよ」と言ってくれるのでした。
同時に多くのおばあさんたちが「もう二度と若い人にあんな思いをして欲しくない。だから私は頑張るよ」とも繰り返し語っていた。何度聴いても感動する言葉でした。
アマたち、おばあさんたちはみんな深い愛情も持っていました。そして若い人のためにと思って行動してきた。だから高校などに呼ばれて若い子たちに語りかける時など、目を細めて高校生たちを見て、とても嬉しそうにしてくれていた。亡くなったあのあばあさん、そしてまた今回もお会いできるあのおばあさんのそんな横顔が彷彿とします。
「あれほど過酷な経験をしたのに、人間はまだこんなにも豊かに愛情深くあれるのか」、僕は何度もそのことに驚嘆しました。
自分なりに調べた「前半」の事態の過酷さを知るが故に、おばあさんたちの勇気、尊厳、そして愛に心を洗われる思いがしたのでした。
同時に男性の立場からこの問題に関わってきた僕は性の問題についても本当にたくさんの事を学べました。男性であることの捉え返しを繰り返し、その中からこの問題の奥底に男性自身の解放の可能性があることも見えてきました。そこにはなんとも清々しいものがあった。それらはすべておばあさんたちとのふれ合いの中からつかめたことです。そのことも含めて、勇気をもって行動してきたすべての女性たちに心からの感謝を捧げたいです。
確かに「前半」の事実を知り、受け止めるのは辛い事です。しかし「後半」には本当に素晴しいものがある。「ああ、この問題に関わってきて本当に良かった」と深々と思えるものがあります。僕はそれをすべてのみなさん、とくに男性のみなさんに知って欲しい。知って一緒に味わっていただけたらと思うのです。
12月10日の開設式にはそんな思いと立場から参加し、可能な限り現地からも報告を出します。
Facebook公式ページ等から10日の開設式にぜひご注目ください!
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