明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1244)川内原発は即時停止すべきだ!重大事故に備えヨウ素剤を手に入れ避難準備を進めよう!

2016年04月16日 01時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160416 01:30)

今宵は記事を連投します。
すでに(1243)で明らかにしたように、熊本地震災害はまだ終わっていません。余震のつらなりから次の地震や阿蘇山の変化などが誘発される可能性があるからです。
暴風雨の到来による土砂災害の発生も予測されます。

想像される危機の中でやはりもっとも恐ろしいのは稼働中の川内原発に新たな地震が襲うなどして、重大事故が発生することです。
ネットを見るとすでに多くの方がこの危険性について発信し、政府に稼働停止の申し入れを行ったことがなどが見てとれます。
しかし一方でこのような動きは過剰だとする、産経新聞を筆頭とした猛烈なバッシングも起こっています。しかしこれらの緒言は人々に「危機を感じるな」と連呼し、正常性バイアスを強化するもので、断じて許されるものではありません。

川内原発はただちに稼動を止めるべきです。そもそもその理由は、今回の地震がなくとも、稼働があまりに危険だからです。
安倍政権は「原子力規制委員会が安全だと言った原発から動かす」として川内原発再稼働にゴーサインをだしましたが、そもそも規制委員会は一度も「安全」とは言っていません。だた新規制基準に合格したと言っているだけなのです。
この他にも、川内原発は加圧水型原発として蒸気発生器に致命的な欠陥を抱えていることなど、危険な要素がたくさんあります。これらから多くの人々が、平常時ですら運転をするのはあまりに危険だ、停めるべきだと言ってきたのです。

今回はその上に、熊本地震が重なっています。
すでに前号で明らかにしたように、今、熊本地方には激しい余震が繰り返し起こっています。それが北側に、南側に拡大する可能性を東京大学地震研究所の古村孝志教授が指摘していました。
またその前提として九州は南北に引っ張られている力が強く、たくさんの断層が重なっていることも解説されていました。
これらはNHKで流されたものですが、さらに重要な情報が入ってきました。

 2016年04月14日 熊本県熊本地方の地震による強震動
 防災科学技術研究所 2016/04/15 12:33
 http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/topics/html20160414212621/main_20160414212621.html

ポイントは何といっても、熊本県益城町で観測されたこの地震の最大の揺れが1580ガルを示したということです。
なぜか。川内原発の耐震設計の基準振動がわずか620ガルとされているからです。これよりもはるかに大きいな地震による揺れが、原発の間近で確認されたのです。
これがどれほど大きな問題なのか。2月27日に毎日新聞の鹿児島版に載せられた記事を読むとよく分かります。

 残余のリスク 川内原発/1 後手後手 相次ぐ基準地震動見直し /鹿児島
 毎日新聞 2016年2月27日 地方版
 http://mainichi.jp/articles/20160227/ddl/k46/040/309000c

この記事には、川内原発で設計上、設備故障の恐れがある安全限界値が1020ガル(2号機)と想定されていることなどが書かれています。
今回の地震の揺れは、この想定をも大きく越えているのです。明らかに九州電力が想定し、規制委員会がゴーサインを与えた想定が突破されてしまっているのです。

では今回起きた地震の断層は、川内原発周辺につながっているのか。この点でもこの間、九州電力の甘い想定が批判にさらされてきました。
とくに2013年に政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会が公表した川内原発周辺の活断層長期評価で、それまでの九州電力のデータが再評価し直されています。
ここでは連続しないとされていた活断層が連続するとして長さが2倍以上になったり、マグニチュード6.8がM7.5になるものさえ出てきており、川内原発近くの市来断層の危険性があまりに過小評価されていることなどが指摘されたのです。
この点は、現地の市民団体、「反原発鹿児島ネット」さんが以下のパンフレットに端的に内容をまとめてくださっています。

 川内原発直近の巨大活断層と幾度も襲った火砕流
 反原発鹿児島ネット
 http://www.synapse.ne.jp/peace/sendaigenpatusaikadouhantaipanph.pdf

これらを読むと見えてくることは、川内原発が活断層の近くにあること、にもかかわらず設計基準動が非常に小さく設定されており、今回の熊本地震でも設定数値が完全に突破されてしまっていることです。
このことから今後の余震が、複雑に重なる九州の断層を刺激し、新たな地震が発生する可能性がある中で、川内原発がとてもそれに耐えられる設計になっていないことは明白です。
だからこそ、今回の熊本地震と、度重なる余震の発生を踏まえて、川内原発はただちに停止すべきなのです!

しかしたとえただちに停止しても、この原発はもう半年以上も動いていましたから、炉内には大量の放射性物質が溜まっています。半減期の短いものもたくさんあります。
甲状腺がんを引き起こす恐れのある放射性ヨウ素131なども大量に抱え込んでおり、放射性ヨウ素が半減期による減衰によって現在の1000分の1になるまでに、原発が停止してから80日(半減期×10)もかかってしまいます。
これらを考えたときに、九州のみなさんは、川内原発が重大事故に見舞われる可能性を考えて、いつでもとっとと逃げだす準備を整えていていただきたいし、そのために安定ヨウ素剤を手に入れていただきたいと思います。

理想的にはお住いの自治体から事前配布されると良いのですが、それでは間に合わないので、購入可能なお店をご紹介しておきます。シンガポールのお店です。といっても薬自身は、篠山市をはじめ配布を行ったほとんどの自治体が使っているのと同じ、日本の日医工というメーカーもののです。
なぜシンガポールからなのかというと、安定ヨウ素剤は、処方箋はいらないものの、医師の指示がないと国内では買えないからです。
これに対していわゆる並行輸入での個人購入は可能ですので、この点に目を付けたこの会社が、シンガポールに拠点を設けて、そこから販売しているというわけです。

 ファミリー薬局シンガポール
 ヨウ化カリウム丸50mg「日医工」:100丸入
 http://sg.mimaki-family.com/products/31887/
 100丸3830円 2丸=76.6円

実はご紹介するのにためらいを感じる情報でもあります。国内で買えば2丸で12円なのに、約77円と高値に設定してあるからです。
しかし僕には他にご紹介できるものがないのでこれをお伝えしておきます。

兵庫県篠山市に僕が属する原子力災害対策検討委員会が提出した提言書のアドレスも示しておきます。
ぜひ、重大事故の際に、とっとと逃げるための手引きとしてください。
 
 原子力災害対策計画に向けての提言
 http://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/bousai/assets/2015/06/teigensyo.pdf

この27ページから31ページの記述が、おそらく日本で出ている被曝防護のための安定ヨウ素剤の説明の中で一番シンプルで核心をついていると思います。これを服用の際の知恵としてご活用して下さい。
僕の著書、『原発からの命の守り方』の中にも取り込んでいますが、もともとは兵庫医大のスーパードクター上紺屋憲彦先生の篠山市での講演を僕が文字起こしし、ご本人に確認してもらったものをベースにしています。ぜひご参考にされてください。

この他、僕が関わっている兵庫県篠山市での安定ヨウ素剤事前配布について毎日放送が作ってくださった番組もご紹介しておきます。
この中で「妊婦はこの薬を飲んではいけない」という誤った解説もなされているのですが(むしろ飲むべきだというのが私たちの委員会の結論です)概ね、ポイントを押さえています。
16分ですが参考になります。

 毎日放送特集番組(石田ジャーナル)
 原発事故から子どもたちをどう守る?篠山市がヨウ素剤を事前配布
 http://www.dailymotion.com/video/x3smqqd

以上、現在進行形である熊本地震災害は、今後、いかなる形で大きく広がるかも分かりません。
これをみすえて、再度、川内原発の停止を強く求めるとともに、九州のみなさん、四国のみなさんをはじめ、多くの方々に、原発事故への備えを固められることを訴えます。
地震と原発から命を守り抜きましょう!

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