守田です。(20160415 23:00)
昨日(14日)午後9時過ぎに熊本県益城町を中心とする大きな地震が起こりました。マグニチュードは6.5、震度は7であったとされています。
九州地方での震度7の地震の観測は、気象庁が本格的に統計を開始した1923年以来、初めてだそうです。
この地震ですでに9人の方が命を落とされました。慎んでご冥福をお祈りいたします。
負傷者も1000人を超すと報道されています。一刻も早い救済や治療が進むことを心の底から願ってやみません。また避難されている多くのみなさんのご無事をお祈りいたします。
その後もたくさんの余震がこの地域を襲っています。なぜこのように余震が多いのか。また今後、どのようなことが予想されるのか、NHKが詳しい解説を流していました。まずはそれを観ていきたいと思います。
熊本地震 なぜ余震が多いのか
NHK 4月15日20時00分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160415/k10010481771000.html
解説を行っているのは東京大学地震研究所の古村孝志教授です。
ポイントと言えることを箇条書きします。
○九州は南北に引っ張られる力が働いているために、今回、地震がおきた益城町付近などには断層帯が多い。
地震が起こったのはこの複数の断層が重なる断層帯の上。何枚もある。
○まずは布田川断層に沿って起こったと思ったものが、余震はその後、日奈久断層に沿って起きている。
今は地震の範囲は10数キロだが、今後これが北側や南側に伸びていかないか、強い心配が残る。
○地震の揺れの特徴が益城町のデータから分かった。
地震では1~2秒の周期のものが、一番木造住宅に影響が与えやすいが、今回はこれが強かったのが特徴。阪神淡路大震災に似ていた。
○ただし揺れ自身は強かったが、10秒から15秒ぐらいで長くは続かなかった。短い揺れでも木造家屋に影響を与える地震だったので被害が多かった。
今もこの地域の建物は、強い影響を受けている可能性があるので、今後の余震でさらに押し倒される可能性がある。注意が必要。
○国の予想では、この断層帯に沿ってマグニチュード7.5までの揺れを想定していた。
今回はそこまで行っていないが、今後、余震が南北に広がり、次の地震につながる可能性も心配しなくてはいけない。
○阿蘇山の火山活動への影響ははっきりいってよく分からない。
しかし同じ断層の延長線上に阿蘇山があり、地震の強い揺れを受けて火山の活動が変わるということは過去にあったので、今後の阿蘇山の火山活動の変化を合わせてみていくことが重要。
ポイントのまとめはここまでですが、端的に言えば、断層に沿って余震から新たな地震や火山活動の変化が起こることが予想されています。
このため、熊本県地方はもちろん、九州の多くの地域で、新たな地震の発生、ないしは大きな余震の発生に備えて厳重な警戒を行う必要があります。
おりしも気象庁から、前線を伴う低気圧の影響で、16日から17日にかけて西日本を中心とした広い範囲で暴風や大雨が予想されるとの警戒が呼び掛けられています。
このため地震による地盤の脆弱化と大雨の影響による土砂災害が発生する可能性も考えられます。
危険な地域におられる方は、ぜひとも早目の避難を行って欲しいと思います。
またハザードマップで危険性が確認されていない地域の方も、ハザードマップが人間による想定にすぎず、災害がそれを越えてしまう可能性があることを十分に考え、避難の態勢をとって欲しいと思います。
以下に九州の活断層の地域評価も記しておきます。
九州地域の活断層の地域評価
http://www.jishin.go.jp/evaluation/long_term_evaluation/regional_evaluation/kyushu-detail/
これらを参考にしつつ、今回の地震災害が、まだ終わっておらず、さらなる大きな地震の発生や、阿蘇山の活動の変化に連なることもありうることを考えて、暫くは緊張を解かずに危険性を向い合ってください。
こういうときに一番危険なのは「正常性バイアス」の罠にはまることです。
事態を重く見ることよりも、「そんなことはない。事態は正常化していく。大丈夫だ」と考えた方が楽なので、心が危険の認知を拒み、安全だと自分に言い聞かせてしまうことです。
ぜひそうした罠に陥らず、緊張を持ってお過ごしください。
お近くのみなさまの安全を心の底からお祈りしています!
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