明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(292)「福島のコメ、全域で出荷へ」・・・なぜ?

2011年10月13日 01時30分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111013 01:30)

今夜はもう一つ情報を流します。一つは「福島のコメ、全域で出荷へ
二本松市でも基準値以下」というニュースについてです。同じタイトル
のニュースが産経ニュースから短く流れているので、全文を紹介します。

*****

福島のコメ、全域で出荷へ 二本松市でも基準値以下
産経ニュース 2011.10.12 13:20

コメの作付けが行われた福島県の全ての市町村で、一般米が収穫後の
本調査の結果、全て国の暫定基準値(1キログラム当たり500ベク
レル)を下回り、出荷可能となったことが12日、県への取材で
分かった。

県は先月23日、収穫前の予備調査で唯一、一定基準の200ベクレル
を超える500ベクレルちょうどの放射性セシウムが検出された二本
松市を「重点調査区域」に指定。本調査で調査地点を大幅に増やし、
監視を強化していた。

本調査では、500ベクレルを超えた場合、旧市町村エリアごとに出荷
が制限される仕組みになっているが、最終的に全ての検体で下回ること
が確認されたという。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/111012/fks11101214460002-n1.htm

*****

テレビでは、このニュースを受けて、佐藤福島県知事が、嬉しそうに
「これで福島のお米の安全性が証明された」と述べているシーンが流さ
れていました。もちろん、そんなことはありません。福島のお米の放射能
含有量が、1キログラムあたり500ベクレル以下であることが証明されたに
すぎません。

この値が安全であるわけがない。ドイツが農作物などの基準としている
のは4ベクレルです。もちろん、これも安全基準値なのではありません。
全ての食材を全く取らないわけにはいかないので、やむを得ずリスクを
覚悟で認める基準値が4ベクレル以下なのです。


ところで、なぜ福島のお米の放射能汚染はすべて500ベクレル未満だった
のでしょうか。またホットスポットだった二本松ではなぜいったん500
ベクレルになったのか。あるいはそれが意味することは何なのでしょうか。

実は僕は仙台のある有機農家の方に、8月の段階で、こうした予測を聞いて
いました。「500ベクレル以上はほとんど出ないだろう」という予測です。
ほぼ正確にあっていました。その方は言っていた。「各地の土地の汚染状況
から500ベクレルは越えないことは今から見えている。つまり規制を越えた
コメがでないように設定したのが500ベクレルなのだ」と・・・。

二本松の場合は、設定条件に一番近いところにあったと思われます。そのため
いったんは500ベクレルちょうどという数字が出てしまった。しかしその後、
「監視を強化」して500ベクレル以下となった。これはどういうことでしょう?
監視の強化で汚染が薄まるはずがない。二本松の中でも、汚染の高そう
なところのコメを除外したのではないでしょうか。

ともあれこうして500ベクレルよりどれぐらい低い値なのかが分からない
コメが流出することになってしまいした。しかし選択が可能な消費者の中で
このコメを避けようとする方も多くなるでよす。そうなるとこのコメは、
外食産業や加工食品業者に流れやすい。コンビニなどのおにぎりなどにも
使われるのではないか。

その場合、これらの産業のモラルを嘆いても仕方がない。一番、悪いのは
こうした極端に甘い基準をかってに決めて、国民・住民の中に、汚染された
食物を蔓延させようとしている政府の姿勢です。スピーディーの情報を知ら
せず、人々を被曝から守らなかったこと、いや守れる自助努力の機会すら
奪ったことと、同じことが再び行われようとしている。

スピーディー情報を握りつぶした犯人も、いやそもそも、これだけの毒素を
まき散らした犯人も、ただの一人も逮捕されていないのですから、同じこと
が繰り返されるわけです。私たちは、またウソの情報で被曝させられつつあ
ります。しかも今度は、身体内部からです。


同時に、こうした構造では福島のコメ生産者も苦しい立場におかれるばかり
です。なぜなら福島産のものは買いたたかれやすくなるからです。そうでは
なく、規制をもっと強め、それを下回らないコメは、すべて東電と政府に
よって損害賠償の対象とすべきなのです。

政府が基準を甘くしているのはこのためでもある。コメが危ないという騒ぎ
を起さないことと同時に、可能な限り賠償金を払う可能性を切り縮めていく
ために、基準を甘くしているのです。この基準は同時に、どこから賠償しな
ければいけないかの基準値でもあるからです。

これらのために、汚染された食べ物が、大規模に市場に出回ってしまっている。
それが私たちの周りにある現状ですが、これを越えるためには、今からでも
基準の強化を求めていくことが大切です。同時に、この間繰り返していること
ですが、市民の側で、なんでもかんでも測定してしまうことです。

汚染された食料の蔓延の中で、子どもたちを守る態勢、私たち自身を守る
態勢を早急に作って行きましょう!




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