明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1228)原発再稼働をみすえヨウ素剤配布など民衆の側からの災害対策を進めよう!

2016年03月03日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160303 23:30)

このところ高浜原発再稼働問題の記事を連投しています。
とくに4号機の問題にフォーカスしていますが、前々回の記事に書いたように、今、目前で起こっているトラブルの連続は、本質的には4年以上も停まっていた原発が必然的に起こしている不具合の連続でもあります。
この点を考えるならば、稼働中の川内1号機、2号機、高浜3号機も大変危険であることが分かります。即刻運転を停止せよと言う声を高めていきましょう。

同時に、非常に大きな危険性の前に私たちが立っている以上、いざという時の大事故の発生への備えを逞しくしていく必要性があります。
その前に原発を停止させたいのはやまやまですが、しかしたった今も稼働しているのですから、明日に、いや数時間後に、大事故が発生するかもしれません。
私たちはこのリアリティに立ち切る必要性があります。「危険だ!危険だ!」といいつつも、事故への遭遇を心の底から避けたいと思っている私たちには「そうは言っても明日は大丈夫だろう」という気持ちが忍び込んでもくるからです。

確かに明日は大丈夫な可能性が高いかもしれません。昨日も一昨日も大丈夫だったからです。しかしそんな気持ちの積み重ねの上に、私たちは福島原発事故を迎えてしまったのではなかったでしょうか。
だからこそ、危険性を危険性として正しく認識するためにも、私たちには、事故が起こった時を想定し、対策を練っておくことが必要なのです。
では原発事故対策の核心は何かと言うと、重大事故がおこったら「とっとと逃げだす」ことです。同時にいかに逃げるのかを普段からできるだけリアルに考えた「シミュレーションを持っておく」ことです。

2014年5月に福井地裁樋口裁判長が大飯原発運転差し止めを命じた画期的な判決を出してくださいましたが、その主文で言われたことは関西電力は原発から半径250キロ以内に居住する原告166人との関係で原発を動かしてはらないというものでした。
原発事故が半径250キロに被害を及ぼしうると断定したわけですが、根拠は2011年3月25日に内閣府原子力安全委員会の近藤委員長が首相に提出した最悪時を想定した通称「近藤シナリオ」でした。
4号機の燃料プールの放射能がすべて出てしまったら、半径170キロは強制移住、東京を含む半径250キロが希望者を含む避難ゾーンになるというもので、当時、政府はこのシナリオに基づいて動いていました。

しかし僕の計算ではこれでもまだ最悪の場合とは言えません。あのとき福島第一原発には、燃料棒の数にして4号機のプールの6倍もの放射性物質がありました。しかも近隣の第二原発にもこれに匹敵するほどの核燃料がありました。
近藤シナリオはこの中の4号機のプールの核燃料の放射能漏れを想定したものに過ぎないのです。これに対し福島第一原発の故吉田所長は「チェルノブイリ級はなくてチャイナシンドローム」「われわれのイメージでは東日本壊滅ですよ」と語っています。
いやチェルノブイリ原発事故でも、例えば1000キロ離れたトルコの黒海沿岸部でも大変な量の被曝が起こっています。放射能は1000キロを越えて甚大な被曝を引き起こしうるのです。

実際の事故では最悪のケースから、もっとも被害の少ないケースまで、どこで収まるか分かりません。だからこそ、事故時の心得は、放射能被曝を少しでも減らすべく、最大限の努力をすることです。可能性にかけて懸命に逃げることです。
そしてその際に、安定ヨウ素剤を飲んで逃げることが大事なのです。原子炉から飛散する放射能の中でも大量に生成され、かつ原子炉から出てきやすいものが放射性ヨウ素だからです。同時にこの放射能は薬で被害を軽減できるほぼ唯一の放射能です。
もちろん放射性ヨウ素が飛んでくる時は他の放射能も飛んできます。だからヨウ素剤を飲めば大丈夫なのではありません。あくまでもこれを飲んで「とっとと逃げる」ことが大事なのです。

以上の点に基づき、僕が原子力災害対策検討委員会の委員を務めている兵庫県篠山市はこの1月31日から安定ヨウ素剤の市民に対する事前配布を開始しました。
事前配布は、いざ重大事故が発生し、混乱も予測されるときに、安定ヨウ素剤を配ることを想定するのは難しいこと、また放射能降る中、ヨウ素剤を取りに行ったり、配ったりするのは不合理であり、その時間にとっとと逃げて欲しいと思うからです。
同時に極めて重要な点は、人はいきなり薬を渡されても、その効能や副作用などについて飲み込めないと、俄かに服用することが難しいからでもあります。その点でも薬は事前に配布しておくことが望ましいのです。

もう一つ大事なことがあります。この薬を手にし、説明を受けると、原発事故に対するリアリティを感じることになることです。その点で、安定ヨウ素剤配布は大きな意識啓発になります。
実は政府がこれまで安定ヨウ素剤の配布を行ってこなかったこと、また福島原発事故後でも5キロ圏内にとどめている最大の理由がここにあります。安定ヨウ素剤を手にすることは原発の危険性を知ることなので、配りたくないのです。
その姿勢こそが、福島県でも大量の備蓄がなされていたのに、ほとんど配られなかった結果を生みました。その意味で安定ヨウ素剤を持つことこそ、原発の危険性を周知していくことなのだということを知って下さい。

これらの点から、篠山市では何段階にわたる事前学習会を重ねて、ようやく事前配布まで漕ぎ着きました。それまで2年近くをかけて各レベルでの学習の積み上げをしてきています。
ぜひこれにならって各地で安定ヨウ素剤の配布に向けた努力を重ねて下さい。それと学習を重ね合わせ、安定ヨウ素剤が万能薬ではないこと、これを飲んで「とっとと逃げる」ことこそが重要であることを周知徹底してください。
参考資料として、毎日放送が編集して下さった当日のニュースの動画(1分)と、ちちんぷいぷい(石田ジャーナル)という特集番組の動画(16分)のアドレスを示しておきます。良くできているのでぜひご覧下さい。

安定ヨウ素剤事前配布
https://www.facebook.com/toshiya.morita.90/videos/10206896106819511/?pnref=story

原発事故から子どもたちをどう守る?篠山市がヨウ素剤を事前配布
http://www.dailymotion.com/video/x3smqqd

とくに石田ジャーナルは非常によくまとめられています。僕が語って欲しいと思う内容が極めて的確に語られています。一番重要なのは避難であることも語られています。酒井隆明市長もコメントしていますが一番良いところがピックアップされています。
しかし少々誤りがあります。最後の方で「妊婦と1歳未満の子は飲んではいけない」と語っているところです。この点は篠山市の側の説明も不明確な点があったので毎日放送の責任とは言えないのですが、そんなことはありません。
確かに胎児に対する非常に小さなリスクはありますが、それよりも母体と胎児を守るメリットの方が断然高いので飲むべきだというのが私たち検討委員会の結論です。この点を頭に入れてご覧下さい。

さらにより詳しいことを知るために、私たちの委員会が篠山市長と市民に提出した「原子力災害対策計画に向けての提言」をご紹介しておきます。
とくに「第4章 被曝防護の安定ヨウ素剤の服用」は、これまで日本で出されているどの文献よりもこの問題を深く掘り下げて書いてあると自負しています。ぜひご一読ください。
以下にアドレスを示しておきます。

原子力災害対策計画に向けての提言
http://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/bousai/assets/2015/06/teigensyo.pdf

より進んで原発事故対策を学びたい方に、昨秋に緊急出版した僕の著書を強くお勧めしておきます。
以下の注文書を書店にお持ちください。

『原発からの命の守り方』
http://greens.gr.jp/uploads/2015/08/morita_kinkan_tirasi.pdf

本書は日本図書館協会選定図書にも選ばれています。そのことを含む出版元の海象社さんのページもご紹介しておきます。
http://www.kaizosha.co.jp/HTML/DEKaizo59.html

なお安定ヨウ素剤について、そうはいってもなかなか行政が動いてくれないのですぐに欲しいと言う方のために、僕が前から購入先としているところをお教えしておきます。
シンガポールからの並行輸入になります。ただし国内で買えば100丸600円の薬が、3830円(送料込み)で売られています。
ぼったくりなのでご紹介することをはばかる気持ちもあるのですが、今はやむを得ないと考えてお知らせしておきます。

ファミリー薬局シンガポール
ヨウ化カリウム丸50mg「日医工」:100丸入3830円
http://sg.mimaki-family.com/products/31887/

以上、危険な原発を止めよという声を高めながら、同時にその危険性ときちんと向かい合い続けるためにも、原発災害対策を進めましょう!
それがまた私たちが核の脅威から解放される日を近づけることにもつながるのです!

 

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明日に向けて(1227)高浜原発4号機緊急停止事故・抗議署名にご協力を!

2016年03月02日 22時00分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160302 22:00)

高浜原発4号機緊急停止事故・抗議署名がまわってきました。ぜひご協力下さい。
僕がこの署名を読んで「これはいい」と共感したのは、関電だけでなく原子力規制委員会を抗議対象としていることです。実に迅速かつ的確でとてもありがたい署名です。
まさにその通り。これは高浜原発の再稼働を認可した規制委員会の責任問題でもあるのです。

ちなみに関西電力は4号機の再起動が早くて今月中旬になるとしていますが、原因究明も終わっていないのに、なぜ再起動の目途について語れるのでしょうか。
こうした再稼働ありきの姿勢こそがトラブルの要因の一つではないでしょうか。

また規制委員会の田中俊一委員長は、2日の記者会見で、まるで他人ごとのようにこう述べています。
「電力会社にはトラブルのないように再稼働を進めることが社会の信頼につながると言ってきたが、信頼を裏切るようなことが起き、うまくいっていないことについて極めて遺憾に思う。詳しい中身が分からないので、今後報告を受けて対応を判断したい」。

田中委員長はいつもそうですが、電力会社に上から目線で苦言を呈すだけで、自分たちを捉え返すことが全くない。
しかし社会に対する信頼を裏切ったのは規制委員会でもあるのです。なぜ一言、「高浜原発4号機の審査が不十分でトラブル発生を防げずに申し訳ない」と謝ることをしないのでしょうか。
それでなんの「規制委員会」なのか。規制に通ったものに責任を負うのが規制当局の当然の務めではないでしょうか。(なおこれら発言などのニュースソースを下記に示しておきます)

 高浜原発4号機 再起動は早くて今月中旬に
 3月2日 18時11分
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160302/k10010428891000.html

こういうあまりに無責任な方たちに、危険極まりない原発の運転権限や稼働の許認可権を与えておくことは到底できません。
私たちの抗議の意思をたくさんの署名で示しましょう。
20日に起こった冷却水漏れの時にも緊急での署名をお願いしましたが、今回もぜひお願いします。
なお締め切りは3月8日24時です。まだ余裕があります。拡散にもご協力下さい!

以下、署名の呼びかけを貼り付けます。

*****

みなさまへ<拡散希望>

■高浜原発4号機緊急停止事故・抗議署名のお願い
http://kiseikanshi.main.jp/2016/03/01/kinkyuteishi/

署名フォームは以下です!
https://fs224.formasp.jp/f389/form1/
締切は 3月8日(火)24時 です

高浜原発4号機が緊急停止しました。4号機は20日にも一次冷却水が漏えいする事故を起こしたばかりでした。
今回の事故は、この漏えいの原因究明も放棄し、再稼働を最優先して突き進む関電と原子力規制委員会の姿勢によって、もたらされました。次には、取り返しのつかない大事故の危険さえあります。

冷却水漏れに際しては、56時間で4400筆あまりの署名をいただきました。今回の緊急停止を受けて、改めて高浜原発3・4号機の再稼働断念を迫る抗議署名を行うこととしました。
前回ご署名いただいた方は再度になりますがよろしくお願いいたします。もちろん今回はじめての方も歓迎です。まわりへの拡散もよろしくお願いいたします。

*******************************

[高浜原発4号機 原子炉緊急停止事故 抗議署名]

高浜原発4号機の原子炉自動停止事故に抗議する
再稼働最優先の関電と規制委員会の姿勢が引き起こした原子炉停止事故
再稼働最優先ではなく、事故原因を徹底究明し、住民に説明せよ!
高浜3号も運転を停止せよ!

原子力規制委員会委員長 田中俊一様
関西電力社長 八木 誠様
2016.3.1

2月29日、高浜原発4号機が緊急自動停止した。発電と送電の操作を開始したとたんに警報がなり、発電機が自動停止した直後にタービンと原子炉も自動停止したと報道されている。
高浜4号機は、2月26日の原子炉起動直前の20日にも、一次冷却水が漏えいする事故を起こしたばかりだった。
この漏えいの原因究明も放棄し、再稼働を最優先して突き進む関電と原子力規制委員会の姿勢によって、今回の事故はもたらされた。私たちはこれに強く抗議する。

2月20日の一次冷却水漏えいについて、関電は2008年からの「ボルトゆるみ」が原因だと発表した。
しかし原子力規制庁は、ボルトは規定値で締められておりゆるみはなかったと表明している(2月25日の私たち市民との交渉。その後26日の福島みずほ議員事務所への文書回答)。両者の言い分は異なったままだ。
さらに、もう一つの漏えい原因である、圧力の一時的な上昇についてもなんら解明されていない。

このような姿勢で再稼働を最優先させれば、次には、取り返しのつかない大事故の危険さえある。これ以上、若狭の住民、京都北部の住民、関西一円の住民の命をもてあそぶなど許されない。高浜原発3号機も即刻運転を停止すべきだ。

要 請 事 項

1.高浜原発4号機の原子炉緊急停止と一次冷却水漏えいの原因を徹底究明し、福井と関西の住民に説明すること。
2.高浜原発3号機も運転を即時に停止すること。
3.住民の安全を守るためには脱原発しかない。高浜3・4号の再稼働を断念すること。

締切り 2016年3月8日24時

呼びかけ
グリーン・アクション/原発なしで暮らしたい丹波の会/アジェンダ・プロジェクト/脱原発はりまアクション/避難計画を案ずる関西連絡会/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/FoE Japan/グリーンピース・ジャパン/原子力規制を監視する市民の会

連絡先
グリーン・アクション
京都市左京区田中関田町22-75-103
TEL:075-701-7223 FAX:075-702-1952
原子力規制を監視する市民の会
東京都新宿区下宮比町3-12-302
TEL:03-5225-7213 FAX:03-5225-7214 

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明日に向けて(1226)4年以上停めていた原発は危険性大!高浜4号機の稼働はこのまま止めるべきだ!

2016年03月02日 17時00分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160302 17:00)

関西電力は、3月2日午前、2月29日に原因不明のトラブルによって原子炉が緊急停止した高浜原発4号機を冷温停止状態に移行させたことを発表しました。
トラブル続きのこの危険な原子炉の再稼働計画をこのまま捨て去り、稼働を止めるべきです。

この間の高浜原発4号機の再稼働から緊急停止にいたる流れと問題点、新たに発覚した事項をここでまとめておきましょう。
2月26日に再稼働を目指していた高浜4号機は、2月20日、起動試験の前日に原因不明の一次冷却水漏れを起こしました。
場所は一次冷却水をろ過して不純物を除く装置付近。量は34リットルでした。その後の調査で、この装置に取り付けれた弁の取り付けねじが緩んでいたことが分かりました。

関電はなぜねじが緩んだのかの調査を十分に行わないままに加締めを行い、3、4号機の同様の弁のねじを点検しただけで、再度、稼働に向かいました。
ここまでで2日間が消費され、起動試験が遅れたにも関わらず、26日の着工をスケジュール通り強行することを表明。事実上、起動試験から再稼働までを短縮してしまいました。
そして26日に原子炉を再稼働させ、3日後の29日に出力10%の段階で発電機を送電線につなぐ操作をしたところ、スイッチを入れたとたんに異常を告げる警報が鳴りだし、発電機と原子炉が緊急停止してしまいました。

関電はタービン建屋の外にあり、発電した電気の電圧をあげて送電線に送る主変圧器付近でトラブル発生と判断。
その後の調査で変圧器から送電設備への異常な電流を検知する機器が作動していたことが判明したとして、引き続き、この機器を中心に原因解明が行われています。
この機器は、ある値を超えた電流が流れた場合に作動するよう設定されており、異常な電流の発生の有無や、機器の設定などに問題がなかったかなどをさらに調べるとのことです。

しかしいずれにせよ、調査結果を原子力規制庁に送り、その判断を仰がなければならないこともあって、すぐに原子炉を再起動させることは無理だと判断し、2日午前中に原子炉を一時冷却水を100度以下に保つ冷温停止状態への移行措置がされました。
このため関電は再稼働まで一定日数(具体的には不明)がかかると表明しています。

私たちがみておくべきなのは、高浜4号機は4年7カ月も停まっていたために不具合が多くなっており、徹底した点検を行ったつもりでも、ボルトの緩みに顕著なように、さまざまな箇所の点検が抜けてしまっているということです。
そのためにトラブルの続発に見舞われているのです。このため今、見つかっている不具合が直されたとしても、まだまだ次に何らかのトラブルが起こり、事故が発生する可能性があります。
しかも恐ろしいのは出力が高まった事態でトラブルが発生し、重大事故に発展することです。その場合、原子炉内の放射能量も格段に増えているのでその点でも危険性が大きくなります。
今回はそのかなり前の段階でのトラブルだったためにある意味では救われているわけですから、この段階で長く停まっていた原発の再稼働の難しさを認識し、危険極まりない原発再稼働から撤退すべきです。

これはすでに動いている川内原発1、2号機、高浜原発3号機についても言えることです。それぞれ長く停まってからの再稼働であるため、今後、どのようなトラブルが発生するかも分かりません。
ここで注目していただきたいのは、昨年8月に僕が書いた記事です。
川内原発1号機の再稼働がなされた直後に、蒸気化した二次冷却水を冷やして水に戻す「復水器」にピンホールなどが生じていて海水が混入するトラブルが発生したことを受けたものです。
これまた配管の十分な点検がなされずに起こったことでした。といってもそもそもすげての配管を調べること自身が技術的に難しいのですが。ともあれ以下の記事をご覧下さい。

 明日に向けて(1128)4年以上停めて再稼働したのは世界で14例。その全てで稼働後にトラブルが起こっている!
 2015年8月23日
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/474f1254a9054ea9bbfa3757feb15566

僕がここで取り上げたのは、ブルームバーグに掲載された「長期停止原発が複数再稼働へ、世界的な未知圏-川内原発先陣」と題した記事です。
ここでは長期にわたって停まっていた原発の再稼働の危険性が次のように指摘されていました。以下にもっとも重要な点だけ引用しておきます。

「国際原子力機関や米国、カナダの規制当局のデータによると、最低でも4年間停止した原発の運転が再開されたケースは世界で14基。そのすべてが運転再開後にトラブルに見舞われている。」
「原子力技術コンサルティング会社、ラージ&アソシエイトのジョン・ラージ社長は、日本は「国中の原子炉がすべて4年間停止した状態」にあり、原子力規制委員会は想定外の事態に備えなければならないと指摘。
 規制委がいま直面している状況は「他のどの国に存在しないまったく固有の事態」だと話した。」

そうなのです。日本の国内の原発はそのほとんどが4年以上、停まっており、原子力規制庁は、これまでどの国も遭遇しなかった困難な課題の前に立っているのです。
そして早速、新規制基準を通った原発が、再稼働前にトラブルを起こし、さらに出力10%の段階でトラブルを重ねてしまったのですから、これは、規制庁の監督責任そのものが問われる事態なのです。
単なる原発の稼働ではなく、長く停めていることで危険性が増大している原発の再稼働を、規制庁が審査し、責任を負い、その上でトラブルの発生を見抜けなかったのだという点をもっとクローズアップする必要があります。

もちろん新品の原発とて大きな危険性があります。だから僕はどのような原発にも反対です。
またこれまで繰り返してきたように、規制庁の新規制基準は、重大事故を前提としたものであって、その点でもまったく認められません。
そのくせ、つまり重大事故の発生の可能性を説きながら、周辺の避難計画もきちんと整備されておらず、その点からも認められるものではありません。
しかし今回起こっている事態は、それらの危険性に上乗せする形で、4年以上も停まっていた原発、今回で言えば4年7カ月も停まっていた原発の危険性が私たちに迫っているということなのです。

これは今後、再稼働が検討されているすべての原発について言えることです。いや、時間が経てば経つだけ危険性が増すのですから、日々、刻々と、日本中の原発が動かすべきではない度合い、危険性を強めていることを知らなくてはなりません。
2度の連続トラブルの発生で、規制庁の新規制基準のもとでの審査に大きな欠落があることがはっきりしたのですから、ここで大事故に至る前に、すべての原発の稼働にもう本当に終止符を打つべきなのです。
いやそれに加えて、東電のメルトダウン隠蔽という大犯罪までもが明らかになっているのですから、もはやどのような観点からも、原子力行政は存続を許されてはならないのです。

高浜4号機にとどまらず、すべての原発を即時停止し、廃炉に向かうべきことを、さらに声を大きくして訴えていきましょう。

 

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明日に向けて(1225)高浜原発4号機停止問題と、高浜3、4号機運転差し止め訴訟に関する続報です!

2016年03月01日 00時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160301 00:30)

すでにお知らせしたように、昨日29日に午後2時1分に高浜原発4号機が緊急停止しました。
その後の報道によると、発電機と送電線をつないで送電を開始する操作を始めたところ、アラームが鳴って発電機がストップ、原子炉も緊急停止したようです。
関西電力は今のところ、発電した電気の電圧をあげる「主変圧器」を保護する検出器が異常な電流を検知したためと発表しています。

以下の福井新聞の配信には、関電提供の現場の動画が示されています。
これを見ると、送電を開始するスイッチを入れた途端に、アラームが鳴りだしたことが分かります。
現場の騒然とした様子が分かりますのでご覧下さい。

 高浜原発4号機の原子炉自動停止 変圧器と発電機の故障示す警報 
 福井新聞 2016年2月29日午後6時00分
 http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/movieheadline/90432.html

今宵はぎりぎりまで粘りましたが、これ以上の情報を得ることができませんでした。
末尾にこの事故に関する関電からのプレスリリース内容も貼り付けておきます。

もう一点、重要な情報をお知らせします。
2月27日に配信した「明日に向けて(1222)」で、高浜原発3、4号機の差し止め訴訟のことを解説しました。
3月11日提訴を目指しているもので、広く原告を募集しています。
その手続きの期限が2月29日だったのですが、提訴の準備を進めている「福井から原発を止める裁判の会」が、締め切りを3月3日まで伸ばしてくだいました!

申込書の送付はメールで行うことが求められており、訴訟費用5000円も振り込み可能なのですぐに送金できますが、これに加えて委任状を署名捺印の上、郵送しなければなりません。
このため場所にもよりますが2日に速達で送ればおおむね届くと思われます。このためまだ少し余裕があります。
我はと思う方、また前回のお知らせの時には時間がなくて断念された方、ぜひお申し込みください。

以下の記事に詳しい情報を載せてあります。

 明日に向けて(1222)高浜原発3、4号機運転差し止め訴訟に参加しよう!(手続きの期限が迫っています)
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/225cb35407f88fa647b2bd614563f9cb

また直接こちらをクリックしていただければ、訴訟情報にすぐに至れます。

 福井から原発を止める裁判の会
 http://adieunpp.com/takahama.html

高浜4号機をもうこのまま動かすなという声を全国からさまざまにあげつつ、3月11日の提訴への参加人員をさらに増やしましょう!
なんとしても危険な高浜原発を運転停止に追い込み、川内原発も止める流れを作りだしましょう!

*****

高浜発電所4号機の原子炉自動停止について
2016年2月29日 関西電力株式会社
http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2016/0229_1j.html

高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉:定格出力87.0万kW)は、本日14時01分、並列操作を実施したところ、発電機がトリップし、「主変発電機内部故障」および「PT※故障」の警報が発信し、タービンおよび原子炉が自動停止しました。
現在、原因については、調査中です。
なお、環境への放射能の影響はありません。
また、高浜4号機のタービン、発電機、原子炉の自動停止状態は良好です。
※PT:計器用変圧器

***

高浜発電所4号機の原子炉自動停止について(第2報)

高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉:定格出力87.0万kW)は、本日14時01分26秒、並列操作を実施したところ、14時01分26秒、発電機が自動停止し、「主変・発電機内部故障」および「PT※故障」の警報が発信し、14時01分27秒タービンおよび原子炉が自動停止しました。
現在、原因については、調査中です。

また、高浜4号機のタービン、発電機、原子炉の自動停止状態は良好です。
※PT:計器用変圧器

その後、発電機が自動停止した際、「主変・発電機内部故障」の警報が発信していたため、現地のリレー盤にて、当該警報の発信要素の動作リレーを確認したところ、主変圧器の故障を示す検出回路が動作していることを確認しました。
その結果、発電機自動停止回路が作動したことから、発電機が自動停止に至ったと考えられます。
PT故障」発信の原因については、現在調査中ですが、「PT故障」の警報は発電機自動停止に伴い発信する警報でもあります。

また、高浜発電所4号機の排気筒モニタと高浜発電所の周辺モニタの指示値に有意な指示変動はなく、環境への放射能の影響はありません。
原子炉停止後の運転パラメータは安定しています。

コメント (2)
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