守田です(20200812 23:00)
● 控訴はあまりにひどい! 一番悪いのは安倍政権だ
許しがたいことが起こりました。7月29日、原告側の勝利が広島地裁で実現された「黒い雨」訴訟に対し、本日12日に国と広島市と広島県が判決を認めず控訴を行いました。
これによって長い裁判の末に勝利を得た原告のみなさんが、再び被爆者認定を受けられず、裁判の続行を余儀なくされてしまいます。すでに原告から「時間稼ぎだ」「死ぬのを待っているのか」との声が上がっていますが、その通りです。
原爆の被害を受けた人たち、しかも75年も放置してきた人々に、なんでこんなに惨い仕打ちができるのか。ただ怒りが沸くばかりです。
もっとも許しがたいのは日本政府であり安倍首相です。政府は控訴の理由として「科学的根拠がない」と述べています。しかし一方で「援護対象区域の拡大も視野に再度の検証を行う」などと言っていてあまりに矛盾しています。
実際には黒い雨がこれまでの認定よりも広範に降ったことは、広島市の行った3万6千人の調査でも明らか。むしろ戦後の混乱期にたった6人で100名あまりに聴き取った今の認定にしがみついてることこそ、非科学的なのです。
そもそも安倍首相には、米国が投下した原爆によって被爆した人々を敬う気持ちなどまったくありません。被害に苦しむ同朋を助けようとの思いも少しもない。あるのは米国の虐殺行為を擁護し、被害者を踏みにじる野蛮な心ばかりです。
NHK News7より
● 広島市と県の国への追従もあまりにひどい
この国の、あまりな姿勢を認めてしまった広島市と県の姿勢もひどいです。とくに松井広島市長の次の言葉はあんまりです。
「せっかく勝訴した原告の思いを考えるとつらいが、多くの人を救う検討の余地があるとして大臣がかじを切ったので、そこに期待をつないで、もう少し頑張ってもらいたい」(NHKの報道より)
これが自ら、原告の思いを踏みにじる控訴を行った側に許される言葉でしょうか。「もう少し頑張ってもらいたい」とはひどすぎる。だったら市長こそ、市民のため、被爆した方たちのため、もっと頑張るべきだったのです。
市と県が誤っているのは、「援護対象区域の拡大」という政府の言葉だけの懐柔策に安易に乗っかってしまったことです。
湯崎広島県知事は「国として被爆者の救済にかじを切ったのだと解釈している」などとも述べたそうですが、冗談ではない。国が控訴したのは、より多くの人々が被爆者として認定される道を閉ざすため以外ではありません。
ようするに「援護対象区域の拡大」ではなく、判決を認めた場合に、国が区域の大幅拡大を命じらることを阻止し、かりに拡大せざるをえないにしても、ごくわずかに切り縮めるために、市と県を抱き込んだのです。
NHK News7より
● 今こそ私たちが頑張るときだ
みなさん。このまたしてもの国の横暴を前に、私たちが陥ってはいけないのは、私たち民衆の側が無力であると誤解することです。
断じて否。「黒い雨」訴訟は一審で勝利したのです。それで政府も「援護地域の拡大」を言い始めているのです。もちろん政府の意図は「拡大」ではなくそれを最小限にとどめるため。できれば現状を維持するため。
しかしその姿勢は一度、はっきりとした批判にさらされました。被爆された方たちとそれを支援する側の声の方が大きいのです。
だとするならば、いまなすべきことは、今一度、「黒い雨」についてきちんと学び広めること。さらには原爆の被害が過小評価されてきたことに着目し、被害の実相に迫る努力を重ねることです。
このことは現在の放射線防護の基準にもつながる問題です。原爆被害が小さく見積もられてきたのは、核戦略を維持するためであり、その中に「原子力の平和利用」というウソも組み込まれてきました。
政府が控訴に踏み切ったのも、このカラクリが崩れることをこそ恐れているからです。だとしたら私たちはここにこそ進みましょう。
あらゆる角度から原爆の被害について調べ直し、真実を明らかにしましょう。その連なりで、控訴審を闘わざるを得なくなった原告のみなさんを支えましょう。
高齢のみなさんをみんなで支え、隠された被害の全貌を明らかにし、その中で核なき未来の可能性を開きましょう。
今こそ私たちが頑張るときです!
原告の頑張りに応えて今こそ私たちが頑張ろう! NHK Web Newsより
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