明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1975)原子力規制委員会は柏崎刈羽原発への再稼働の許可を取り消し許認可権限を返上すべきだ

2021年02月07日 18時30分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210207 18:30) 

柏崎刈羽原発の中央制御室不正入室問題の続報です。

規制庁は直後から不正を知っていた-保安規定変更案了承を取り消すべきだ

問題は再稼働を目指していた柏崎刈羽原発において昨年9月20日に発生しました。原発の心臓部である中央制御室に職員が他の職員のIDを黙って持ち出し入室したのです。
中央制御室は操作を間違えば破局的事故を招きかねない場ですし、意図的な破壊行為すら画策できる場です。だから当然にも厳しいセキュリティが問われる場なのに、やすやすと自分のIDのないものが入れてしまっていた。
それ自身が大問題ですが、今回明らかになったのは、東電がこの件を翌日21日に原子力規制委員会の事務局を担う規制庁に報告していたのに、規制委に報告せず、更田委員長が知ったのが本年1月19日だったことです。


柏崎刈羽原発不正入室問題で規制庁が情報を止めていたことを報じるNHKのテレビ映像より

つまり問題は東電職員の中央制御室への不正入室だけではなかったのです。重大な不正が規制庁から規制委員会へと伝えられていなかった。うっかりミスなどとはとても言えない。意図的に伝えなかったとしか考えられません。
なぜかというと、この重大な不正に関する情報が規制委員会に届けられないままに、9月23日に規制委員会が行われ、事業者が自ら守るべき安全上のルール「保安規定変更案」への了承が行わて、原発を動かす「適格性」が認められたからです。
不正入室は「保安規定違反」そのものですから、これが伝えられていればとても了承できず、「適格性」は認められなかったはず。これらの点から、当然にもこの了承は即刻取り消されるべきです。


不正入室問題の流れを示した新潟日報の紙面より


規制庁-規制委員会は許認可の権限を返上すべきだ

さらに今回の問題では、原発再稼働に許認可を与えている規制庁-規制委員会の合法性が大きく問われています。
保安規定を話し合っているまさにその時に、保安に関係する重大情報が意図的に伝えられなかったのだからです。当然にも同一事例や他の不正がこれまでなかったか、過去にさかのぼっての点検が必要です。
またそれがすむまでは、これまで出されている再稼働の認可をすべて取り下げるべきです。それほどに、保安上の重大不正が意図的に伝達されなかったことは大きな問題です。

規制委員会東電に「厳正に対処」すると語る一方で、自分たちの問題を8日に臨時会議を行って調べるとしていますが、原発内で起こった重大な事態をなんと3か月も把握していなかった自分たちのあり方にも「厳正な対処」が必要です。
再稼働の許認可において、肝心なセキュリティの問題を把握していなかったのですから規制当局としてまったく失格で、許認可権限そのものを返上すべきです。
繰り返し述べてきたように、こうしたことはもともと新規制基準が、ウソとごまかしと隠ぺいの積み重ねでできているから起こる構造化された問題なのです。危険な原発をモラルを欠いた規制当局と電力会社が動かしている現状を即刻止めましょう。


不正入室問題で「東京電力の核セキュリティ-教育が果たしてどうだったのかという話には当然なるだろう」と語る更田規制委員長。では規制庁の問題はどうなるのか?ANNの報道より

#柏崎刈羽原発 #中央制御室不正入室 #原子力規制庁は知っていた #原子力規制委員会に報告なされず #保安規定変更案了承の取り消しを #再稼働の許可の取り消しを #許認可権の返上を

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明日に向けて(1974)東海第二原発、「安全工事」の契約妥結できず・・・このまま廃炉にしよう!

2021年02月02日 23時00分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210202 23:00)

東海第二原発の「安全工事」が進んでない・・・

前号で東海第二原発の避難計画が破綻していることを書きました。その後、そもそも再稼働の前提になる「安全工事」が進んでおらず、「再稼働の道のりは厳しい」状態にあることを報じる記事が出ました。ご紹介しておきます。

東海第二原発、安全工事の契約妥結できず 再稼働に影響
朝日新聞社 2021/02/01 05:00
https://digital.asahi.com/articles/ASP105RL5P14UTIL02V.html?iref=pc_ss_date_article

記事はこう報じています。
「再稼働のための安全対策工事をめぐる原電とゼネコン3社の契約交渉が、交渉開始から2年以上を経ても妥結していないことが複数の工事関係者への取材でわかった。この影響で、2022年12月とされる工事の終了予定が延びる可能性がある
。 原電は工事費を約1740億円としているが、ゼネコンの見積額はこれを上回っており、大幅な増額となる見通しだ。予定通りに工事が進んでいないことに加え、周辺自治体から再稼働に必要な事前了解が得られるかも不透明な状況で、再稼
働への道のりは厳しい。」

「安全工事」とかっこを付けて書いたのは、これらの多くが、新規制基準で求められているもので、重大事故を避ける設備と共に、重大事故起こった時に対処する設備であって、安全を確保するものとは到底言えないからです。
しかしそれですら大変なコストがかかる。原電は約1740億円としていますが、指名されたゼネコン6社が出した見積もり額は2500億円以上で、妥結できてないそうなのです。
記事は、ゼネコン関係者が「原電は工事費の積算や交渉の実務能力に乏しい。原電の提示額が実態に合わず、工事は終了予定に間に合わない可能性が高い」と話したことも伝えています。


工事について報じる朝日新聞より


民衆の頑張りこそがこの事態を引き寄せている-このまま廃炉にしよう!

この事態を生み出しているものは、私たち民衆の頑張りです。どういうことかと言うと、たくさんの方が福島原発事故で原発の危険性に目覚め、同時に「自分が無関心でいたことがこの事態を招いた」という反省の上に大きな声を挙げだしました。
この高まりに対し、原子力推進派は応せざるをえなくなり、それがレギュレーションの強化に結びつきました。日本だけではありません。どこの国でも強化なくして原子力政策を進められなくなりました。
しかしそれだけでどこでも原発建設のコストが大幅にアップしてしまいました。このため安倍政権が結んだすべての原発輸出計画が破綻。この中で東芝の経営が傾き、が破産的事態に。原発からは完全撤退しました。

また日本の中でも「新規制基準」が作られましたが、これでもまた大きなコストがかかるようになってしまいました。
繰り返し述べるようにこの基準は「重大事故が起こらないと言ってきたのが間違い。これからは重大事故が起こったときへの対応を考える」との考えに立つもので、安全性を確保したものではありません。
いやそもそもどんなにコストをかけても安全性の確保ができない欠陥プラントが原発です。しかし安全性を確保しきれない設備でも巨額になってしまい、東海第二でも工事の契約ができずにいるのです。

さらに記事はもう一つ、重要なポイントを書いています。「原電は昨年1月、安全対策工事の終了予定を21年3月から22年12月に延期。再稼働もこの時期と明記した書類を周辺6市村に示したところ、「容認できない」と反発を招いた。」とのこと。
工事が進捗しないだけではなく、地元の合意も進んでいないのです。原電はこんな状態の中でコストをかけて工事を進めるかどうか、経営判断が問われているでしょう。
だから民衆の側がさらに「再稼働をやめてこのまま廃炉に」という声を高めることが大事なのです。効果もあります。みんなで声を高めて東海第二原発をこのまま廃炉にしましょう!


2019年11月16日、「STOP!! 東海第二原発の再稼働 いばらき大集会」後のデモ 水戸市にて 東京新聞より

#東海第二原発 #このまま廃炉に #安全工事の契約妥結できず #原発再稼働反対

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明日に向けて(1973)東海第二原発事故時の避難所見積もり18000人分不足-総員避難は無理!再稼働を止めるべきだ

2021年02月01日 21時30分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210201 21:30)

でも本当に18000人分の不足だけ?

東海第二原発が重大事故を起こした際の広域避難計画をめぐり、30キロ圏内からの避難を受け入れる避難所が過大に見積もられていたことが明らかになりました。
一部でトイレや倉庫などの「非居住スペース」を除外しておらず、2018年時点の収容人数が18000人分足りなかったというのです。
自治体間の協議は難航しており、国内の原発で最大の約94万人の避難計画が、策定開始7年でも「完成」していないと報道されています。


18000人分の不足と伝える毎日新聞

ただしこの計画を良く見ると一人分のスペースはわずか2平米。これで一月も生活せよとの計算です。
国連が勧告しているスフィア基準では一人分のスペースは3.5平米。しかもスペースだけでなくトイレも20人にあたり一つ。男性1に対し女性3にせよとされていますが、これまた全く不足です。
さらにコロナ禍でのソーシャルディスタンスを踏まえたスペースでは日本でも4~5平方メートルが必要とされており、それらを合わせたら不足は18000人分よりずっと多くなります。

いやそもそもこれらの避難所は茨城県内で、事故が起こった時の放射性物質を含んだプルームの動きがそれ以内に収まる保障などない。
一度、避難所に入っても、さらに遠くまで逃げなければならなくなる可能性も大ですが、その時の避難先は想定すらされていない。
つまり不足が18000人分にとどまらないどころか、避難計画そのものが成り立っていないことが示されているのです。


原発事故での総員の避難はどれも無理。再稼働をやめるべきだ!

避難の困難性は繰り返し指摘されていることです。例えば2018年11月に日本テレビがNNNドキュメントで「首都圏の巨大老朽原発 再稼働させるのか」という番組を放映しました。
「明日に向けて」で3回にわたって文字起こししましたが、そこから避難にスポットを当てた部分をご紹介します。

明日に向けて(1621)東海第二原発が事故を起こした時、避難できるのか(NNNドキュメントより‐2)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/04b01f55fec298e351618c88f3514461

「避難できるのか」と書きましたが、もちろんまともな避難などできません!そもそも東海村には原発だけでなく再処理工場や研究施設など12カ所もの関連施設があり、複合災害になると被害は東海第二にとどまらない可能性すらあります。
また東海第二は北は久慈川、南は那珂川という一級河川に囲まれていて、地震で橋が崩落したら他の橋に車が殺到してしまう。それやこれやでとても94万人(ドキュメント放映時は96万人)のすみやかな避難など不可能なのです。
これらから出る結論は一つ、総員避難はとても無理、再稼働は絶対にしてはならないということです。


NNNドキュメントの映像に守田が加工


「とっとと逃げる」ことと総員避難は無理だということの整合性

ここで整理しておきたいことがあります。僕は常に原子力防災の肝として「とっとと逃げる」ことを訴えています。このことと「総員避難は無理」ということの整合性はどうなるのか。
答えはこうです。そもそもどこの原発を考えたって総員が理想的に逃げることは不可能なのです。周辺人口の多い東海第二はもちろん、すでに稼働している川内・玄海・大飯原発とて総員避難は無理です。
だから絶対に原発を動かすべきではないのだけれども、動かされてしまっている以上、可能な中の最善の策として「とっとと逃げる」しかない。

とくに渋滞が予想される地域ほど、まだ事故の規模が分からないうちからとっとと逃げだして下さい。その方が被曝を避けられる可能性が高くなります。
福島原発事故では放射性物質が大量に飛び出すまである程度の時間がありました。同じようになる保証などないですが、それでも稼働原発の事故では、我先にとっとと逃げるのが最善の道です。
もちろん諸事情から逃げられない方もおられるでしょう。それなら立て籠もりの準備をしておいて下さい。そういう方が必ずおられることを考えると、万が一の過酷事故でも深刻な爆発を免れることを祈るばかりなのですが。

こうした記事を書いていると、新規制基準のあやまり、ひどさに改めて怒りを感じます。放射性物質が格納容器から漏れ出す「重大事故」が防ぎきれないことを前提に対策をたてよとなっているからです。
そのくせ原子力規制委員会は「避難計画は管轄外」としている。誰が責任者なのか不明確なまま、現場自治体に責任がおっかぶされています。しかし現場からみたら無理難題そのもので、だからまともな避難計画など作れないのです。
もともとできもしないことが要請されていて、しかも要請した側はなんら責任を取っていない。これが原子力行政の実態です。

事故が起きてしまったらとっとと逃げるしかないけれど、やはり再稼働させないことが一番。そのためにはこの余りの酷さをみんなで広く伝えていかねば。問われているのは、あなたと僕の努力です。


篠山市(現丹波篠山市)の原子力防災ハンドブックより

#東海第二原発 #18000人分不足 #広域避難計画の破綻 #巨大老朽原発 #原子力防災 #総員避難は無理 #とっとと逃げる

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