昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (五十八)の五

2013-04-08 20:28:35 | 小説
三部構成の、大長編です。
どうぞ気長に、読んでください。
実はこれ、まだ執筆中なんです。
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(五)

“小夜子を嫁に出さにゃいかんのか。
やっぱり帰って来ぬのか。

正三の馬鹿たれが! 
あいつがしっかりしておれば、小夜子はここに帰って来たろうに。

タキや、タキや。
どうしても小夜子を手放せばならんのか? 

わし一人になってしまうのか? 
いっそわしも、タキの元に行こうか? 

どうじゃ、迎えに来てくれんか? 
夜寝てそのまま、というわけにはいかんかのぉ。”

がっくりと肩を落としている茂作に、小夜子が優しく声をかけた。

「お父さん、今までありがとうね。
お嫁に行っても、小夜子は小夜子だからね。

帰ってくるから、きっと。
今まではいろいろと忙しくて帰られなかったけれど、
これからはたくさん帰ってくるから。」


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