(一)
小夜子が自宅に辿り着いたのは、どっぷりと日が落ちて落ちてからのことだった。
“灯りの点いていない暗いお家に一人なのよね。
こんなことならもう少し実家に居ればよかったわ。
それにしても武蔵ったら、どうして出張に行くのよ。
新妻を放ったらかしにするなんて、ほんとに信じられないわ”
「着きました、小夜子奥さま」
竹田の声に促されるように車から降りた小夜子の目に、信じられない光景があった。
「えっ! 灯りが点いてる。ひょっとして武蔵、帰ってきてるの?」
「いえ。社長はまだ二日はお戻りになりません」
冷然と告げる竹田に対し、語気鋭く詰め寄る小夜子。
しかし竹田は涼しい顔をしている。
「だって、灯りが…。泥棒? 竹田、警察を呼んで!」
「あぁ、灯りですか。泥棒じゃありません、すぐに分かります」
にこやかに答える竹田だ。
「そりゃ、分かるでしょうよ。
中に入れば、誰かが居るのか、灯りだけが点いてるのか。
分かって当たり前でしょ!」
憮然とした面持ちで、言い返す小夜子。
しかしなそれでもなお、竹田の笑みは消えない。
小夜子が自宅に辿り着いたのは、どっぷりと日が落ちて落ちてからのことだった。
“灯りの点いていない暗いお家に一人なのよね。
こんなことならもう少し実家に居ればよかったわ。
それにしても武蔵ったら、どうして出張に行くのよ。
新妻を放ったらかしにするなんて、ほんとに信じられないわ”
「着きました、小夜子奥さま」
竹田の声に促されるように車から降りた小夜子の目に、信じられない光景があった。
「えっ! 灯りが点いてる。ひょっとして武蔵、帰ってきてるの?」
「いえ。社長はまだ二日はお戻りになりません」
冷然と告げる竹田に対し、語気鋭く詰め寄る小夜子。
しかし竹田は涼しい顔をしている。
「だって、灯りが…。泥棒? 竹田、警察を呼んで!」
「あぁ、灯りですか。泥棒じゃありません、すぐに分かります」
にこやかに答える竹田だ。
「そりゃ、分かるでしょうよ。
中に入れば、誰かが居るのか、灯りだけが点いてるのか。
分かって当たり前でしょ!」
憮然とした面持ちで、言い返す小夜子。
しかしなそれでもなお、竹田の笑みは消えない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます