昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

大長編恋愛小説 【ふたまわり:第二部】(三)の3

2011-03-08 20:00:50 | 小説
三人を引っ張り出したとき、
どっぷりと日が暮れていた。
時計を見ると、
七時近くになっていた。
伝票整理に追われてしまい、
五平自身の仕事が片付かなかった。
武蔵は、
帰宅している。

「五平、
いい加減に切り上げろよ。」
武蔵に声を掛けられてから、
一時間近く経っていた。
三人は、
所在無くそれぞれの机に座っていた。
山田、服部の二人は、
これからのことを色々と詮索しあっては、
ニタニタと笑っている。
しかし竹田だけは、
何やら電話口で深刻そうな表情をしていた。

「済まなんだな、
遅くなって。
それじゃ、
行くか?」
「はいっ!
お供します。」
二人は大声で応えながら、
すぐに立ち上がった。
竹田も慌てて受話器を置くと、
席を立った。
そして五平の前に、
「これ、
電話代です・・」と、
小銭を置いた。
「そんなもの、
構わんさ。
今まで、
待たせてしまったんだから。」
「いえっ。
私用の電話ですから・・」
「律儀な奴だな、
お前は。
ま、いい。
さっ、
それじゃ行くぞ!」


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