昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

鼠小僧次郎吉 ~さると猿回し~ 三十二

2010-09-22 21:04:28 | 小説
天保三年(1832年)五月九日、
浜町の松平宮内屋敷に忍び込みの罪で捕らわれた。

その折り、
八丁堀無宿・異名=次郎太夫事、
次郎吉と名乗った。

実際の所は次郎吉が忍び込んだのは四月の晦日であったが、
松平宮内家では厄介な手続きを嫌った。

実害のなかったこともあり、
北町奉行には内緒で懇意の町方同心に相談した。

そして
「当屋敷に侵入した形跡はない。」と、
内々に決した。

松平宮内家門前で追い払い、
その後挙動不審者ということで、
町方同心が捕縛した。

その吟味の最中に、
何を思ったのか
「俺が、
ねずみ小僧だ!」と、
自白してしまった。

大盗人だと聞かされた松平宮内家では、
地団駄を踏んで悔しがったというが、
後の祭りであった。

そのまま牢屋敷お預けとなり、
翌六月十六日に入牢となった。


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