(二)
「とに角ね、お母さんやお姉さんの前では、決して謝らないでちょうだい。
もっともお二人の前では、竹田と口を聞くこともないでしょうけどね。
竹田、あなたに言いたいことがあるの。
あなたの話って、何ていうか、キリというものがないの。
何々して、何々してってね、文が終わらないのよ。
だからね、聞いている方は気が休まらないの。
分かる? まだ何か大事な言葉がでてくるのか? って、
身構えながら聞いてなくちゃいけないから」
「申し訳…あ、いえ、その…。小
夜子奥さまの前だと、どうにも、その、うまくお話ができないというか、その…」
しどろもどろになってしまう竹田。
武蔵の伴侶というだけでは片付けられない感情を抱いてることに、本人自身が気付いていなかった。
「あぁ、でも楽しみだわ。
お母さんのお料理も食べてみたいけれど、何といってもお元気になられたお姉さんよ。
早くお会いしたいわ。正直、あのまま逝かれてしまうのかって心配だったけれど、持ち直されたのねえ。
ほんとに良かったわ」
「はい、小夜子奥さまのおかげでして。
もう言葉もありませんが、家中皆、ほんとに感謝の言葉を並べておりまして。
でも小夜子奥さま、お疲れじゃありませんか?
お帰りになられたその日に、あんなどんちゃん騒ぎになってしまいまして。
その翌日にまた、こうしてお越しいただこうとしまして。
ほんとに、申し…あ、言いません。
もう言いません。もう、口を開きません」
キッと睨み付ける小夜子をバックミラーに見た竹田。
慌てて口を閉じた。
「とに角ね、お母さんやお姉さんの前では、決して謝らないでちょうだい。
もっともお二人の前では、竹田と口を聞くこともないでしょうけどね。
竹田、あなたに言いたいことがあるの。
あなたの話って、何ていうか、キリというものがないの。
何々して、何々してってね、文が終わらないのよ。
だからね、聞いている方は気が休まらないの。
分かる? まだ何か大事な言葉がでてくるのか? って、
身構えながら聞いてなくちゃいけないから」
「申し訳…あ、いえ、その…。小
夜子奥さまの前だと、どうにも、その、うまくお話ができないというか、その…」
しどろもどろになってしまう竹田。
武蔵の伴侶というだけでは片付けられない感情を抱いてることに、本人自身が気付いていなかった。
「あぁ、でも楽しみだわ。
お母さんのお料理も食べてみたいけれど、何といってもお元気になられたお姉さんよ。
早くお会いしたいわ。正直、あのまま逝かれてしまうのかって心配だったけれど、持ち直されたのねえ。
ほんとに良かったわ」
「はい、小夜子奥さまのおかげでして。
もう言葉もありませんが、家中皆、ほんとに感謝の言葉を並べておりまして。
でも小夜子奥さま、お疲れじゃありませんか?
お帰りになられたその日に、あんなどんちゃん騒ぎになってしまいまして。
その翌日にまた、こうしてお越しいただこうとしまして。
ほんとに、申し…あ、言いません。
もう言いません。もう、口を開きません」
キッと睨み付ける小夜子をバックミラーに見た竹田。
慌てて口を閉じた。
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