昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (十一) 白いブラウス姿で、のぶこの

2015-03-20 08:55:04 | 小説
「なあに、年上の女性がどうしたの?」
のぶこの軽やかな声が、彼を包んだ。

外からの光を背にして、のぶこが彼の元に近づいてきた。
白いブラウス姿で、のぶこのボディラインが透けて見えていた。

眩しそうに見上げる彼に、ジーンズにTシャツ姿の耀子が声をかけた。
「ミタ君、ちっとも出てこないわねえ。だめじゃない、そんなことじゃ。今日は大事な話があるから、きっと出なさいよ」

有無を言わさぬその口調に、思わず彼は
「はい、わかりました」
と、答えていた。

バイトに時間を取られていることもあるのだが、意識して避けている彼だった。
あの夜、のぶことの夢を見てからは遠ざかっていた。

「なんだ、彼よ。折角の女の花園なのに、出ていないのか? 勿体ないぞ、実際。
俺なんか、淋しいもんだぜ。男所帯だもんな、応援団は。
いっそのこと、俺もダンスサークルに鞍替えするかな」

「だめ、だめ。吉田君は、だめよ。下心が、見え見えだから。
ここぞとばかりに、女性の身体にタッチしそうだもん。ねえ、のぶこ」
即座に、耀子が拒絶した。のぶこは、唯苦笑するだけだった。
「そうですか、そうでしょうとも。あんたは、彼のような優男が好きだもんな」

「じゃあね、ミタ君。待ってるわよ」


最新の画像もっと見る

コメントを投稿