「由香里ちゃん、入りますよ」
ドアがノックされ、母親の声が聞こえた。
彼の慌てようとは裏腹に、由香里はすました顔で答えた。
「はあ~い、どうぞ」
コタツから抜け出す間もなく、母親の顔が覗いた。
「由香里ちゃん、ケーキ食べるでしょ? あらあら、そんなせまい所に。
せんせい、由香里が、またわがまま言ったんでしょ?
ごめんなさいね、ほんとに」
咎める様子もなく、いつものにこやかな表情でケーキを差し出した。
母親の柔らかい口調に安心つつも、できるだけ由香里の体に触れまいとしている様だけは見せようとする彼だった。
「ここに置いて、お母さん」
香里は屈託のない顔で、コタツ板を指差した。
「はいはい、分かりましたよ。それじゃあ、お母さんもコタツに入っていいかしらねえ?」
「それはだめ! ネバーランドは、子供だけの国なんだから。大人はだめなの!」
「あら? 先生は、大人じゃないの?」
「先生は、特別なの。うーんと、学生さんだから、大人じゃないの!」
由香里の屁理屈に、彼も母親も大笑いをした。
その笑い声に、奥の方から父親の声がする。
「お父さんを除け者にして、何をしてるんだあ?」
「何でもないよお!」
由香里が大声で答えた。
やはり、父親には見られたくない思いがあるのだろう。
母親は満面に笑みを称えながら、ドアを閉めた。
ドアがノックされ、母親の声が聞こえた。
彼の慌てようとは裏腹に、由香里はすました顔で答えた。
「はあ~い、どうぞ」
コタツから抜け出す間もなく、母親の顔が覗いた。
「由香里ちゃん、ケーキ食べるでしょ? あらあら、そんなせまい所に。
せんせい、由香里が、またわがまま言ったんでしょ?
ごめんなさいね、ほんとに」
咎める様子もなく、いつものにこやかな表情でケーキを差し出した。
母親の柔らかい口調に安心つつも、できるだけ由香里の体に触れまいとしている様だけは見せようとする彼だった。
「ここに置いて、お母さん」
香里は屈託のない顔で、コタツ板を指差した。
「はいはい、分かりましたよ。それじゃあ、お母さんもコタツに入っていいかしらねえ?」
「それはだめ! ネバーランドは、子供だけの国なんだから。大人はだめなの!」
「あら? 先生は、大人じゃないの?」
「先生は、特別なの。うーんと、学生さんだから、大人じゃないの!」
由香里の屁理屈に、彼も母親も大笑いをした。
その笑い声に、奥の方から父親の声がする。
「お父さんを除け者にして、何をしてるんだあ?」
「何でもないよお!」
由香里が大声で答えた。
やはり、父親には見られたくない思いがあるのだろう。
母親は満面に笑みを称えながら、ドアを閉めた。
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