昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

昭和の恋の物語り (二十一)

2013-01-27 12:49:08 | 小説
[昭和の恋の物語り]

再掲載作品です。
(前タイトル:風よ、伝えて! ~恋のGT~)

一昨年(平成23年)、市文芸祭に出品しました。
市長賞(二位)を頂きました。

審査員の方に、
「真理子ちゃんのお話がもう少し欲しかったですね。」
と言われました。

三十枚という制限の中では、どうしても書き切れませんでした。
で今回は、そのことも含めて少し書き足しました。
~~~~~~~~

(二十一)

「ごめんなさい、お待たせしました。」

横断歩道で車の窓を叩いてくる。
スーパーの駐車場はすぐそこだ。

まさか交差点での乗り込みとは考えていなかった俺は、
慌てて「駐車場に入るから。」と、手で合図した。
意外にせっかちなんだ。

俺の意に反し、真理子ちゃんは後部座席に座った。
が、内心ホッとする気持ちもある。

そんな俺の気持ちを察してか、
「あとで席を交代するから、今は我慢しなさい。」
と、事務員からのありがたいお言葉があった。

「そ、そんなこと。べ、別に……」

しどろもどろになってしまった。
真理子ちゃんも又、耳たぶまで真っ赤になっていた。
そんな意識させちゃだめなのに、事務員のバカ! 


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