昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

僕の女王様は妹 (四十五)

2010-06-28 21:43:46 | 小説
翌月だったんですけどね、雨でした。奮発して、タクシーで行ったんです。
「お兄さん、お店は決まってるの?」
ニヤニヤしながら、聞くんです。
「いえ、出たとこ勝負です。」って、答えたんスけどね。
「それじゃ、○○にしなさいょ。いい娘が居ますょ、マーリンって娘がね。可愛い顔してるんですがね、・・ヒヒ・・、凄いらしいですょ。この間ね、お客さんが言ってましたょ。」
「す、すごいって、どんな風なんですか?」
つい、聞いちゃいました。
「そりゃあもう!論より証拠ですょ。騙されたと思って、行ってごらんなさいな。病み付きになるらしいですょ。」

行きましたよ、
と言うより連れて行かれた、
と言うべきかな?

正直言って、後悔したんス。
表通りに面した立派な構えの店じゃなく、
裏路地の中ほどにある古い店だったんス。

くすんだ、
と言うのかな?
何だか、
場末のバーと言った感じだったです。

運転手が付いて来るもんスから、
仕方なく中に入りました。
そうしたらですね、

「よう!
マーリンさん、
居る?」って、
聞くんスよ。

顔見知りかな?って、
思ったら
「いらっしゃいませ。
マーリンさんをご指名ですか?
ありがとうございます。」と、
事務的に答えるんス。

「いゃね。
この間乗せたお客さんのご推奨でさ、
このお兄ちゃんを連れてきたの。
サービスして上げてよね。
じゃないと、
俺っちの顔が潰れるからさ。」

善い人なんですよね、
運転手さん。

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