そのステレオの上の壁には、
その艶やかな肌に深くナイフの傷跡を残し、
それでも穏やかな表情の能面があった。
しかし穏やかに微笑んでいるその能面に、
どこか冷たさを見ては背筋に氷の入る思いをするのは、
一度や二度ではなかった。
今は亡き母にも似たその面は、
生きている人間の意志など無視しがちな或種の威厳を感じさせ、
部屋全体に重くのしかかっていた。
その他には、
ぐるりと見回しても、
とりたてて言う程のものはない。
強いて言うなら、
紺に彩られた扉がある。
そしてその紺の中に一つ、
鈍く光るドアノブだけが、
アンバランスだった。
その艶やかな肌に深くナイフの傷跡を残し、
それでも穏やかな表情の能面があった。
しかし穏やかに微笑んでいるその能面に、
どこか冷たさを見ては背筋に氷の入る思いをするのは、
一度や二度ではなかった。
今は亡き母にも似たその面は、
生きている人間の意志など無視しがちな或種の威厳を感じさせ、
部屋全体に重くのしかかっていた。
その他には、
ぐるりと見回しても、
とりたてて言う程のものはない。
強いて言うなら、
紺に彩られた扉がある。
そしてその紺の中に一つ、
鈍く光るドアノブだけが、
アンバランスだった。
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