昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

X’mas version 【 ふたりだけのイヴ 】 天国編(一)

2009-12-22 18:40:05 | 小説
ろうそくの火を三本灯してある部屋。

みかん箱の上に、テーブルの上に、そして窓辺に置く。

薄明るい四畳半に、僕と君がいる。

クリスマスイブの今宵、
僕の気まぐれだけで、この部屋に君を招き入れた。

邪をひいたという君は、コタツ一つない寒いこの部屋で、
オーバーに身を包んで震えている。

僕のたった一つのレインコートをその上にかけようとすると、
”あなたが寒いから”と、僕の背にかけてくれる。

あぁ、ありがとう。

これ程の幸せを誰が知る?

君のかわいらしい手のぬくもりが、僕の背に伝わる。

そして電気のように、僕の心臓を高ぶらす。

“Merry X’mas,&,Holy night!”

君の鈴のようなその声は、まるで天使だった。

いつだったか、その声を聞いた。

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