(三)
「うーむ‥‥」
視線を上げて、空一点を見つめる医師に対し「そ、そんな…」と、思わず絶句した。
気を取り直して「ど、どうしようもないのですか?」と声を絞り出すと、深く大きなため息を吐いた。
「もういいでしょう。あとは、お母さんに話を聞いてください」
席を立ちかける医師に、その袖口を掴んで小夜子が懇願する。
「体力の残っている今の内に、好きなことをさせてください。
お母さんとも相談しますが、退院願いが出たら許してくださいな」
「そ、そんな。容態を分かっていらっしゃないから、そんなことが言えるんだ。
冗談じゃない! 医師として、そんなことはできない。
いつ倒れるかもしれないんですよ、それでは。
それに第一、死期を早めることになってしまうことになる。
医師としてね、そんなことは認められない。話になりません!」
顔を真っ赤にして拒絶する医師。指先がわなわなと震えている。
「うーむ‥‥」
視線を上げて、空一点を見つめる医師に対し「そ、そんな…」と、思わず絶句した。
気を取り直して「ど、どうしようもないのですか?」と声を絞り出すと、深く大きなため息を吐いた。
「もういいでしょう。あとは、お母さんに話を聞いてください」
席を立ちかける医師に、その袖口を掴んで小夜子が懇願する。
「体力の残っている今の内に、好きなことをさせてください。
お母さんとも相談しますが、退院願いが出たら許してくださいな」
「そ、そんな。容態を分かっていらっしゃないから、そんなことが言えるんだ。
冗談じゃない! 医師として、そんなことはできない。
いつ倒れるかもしれないんですよ、それでは。
それに第一、死期を早めることになってしまうことになる。
医師としてね、そんなことは認められない。話になりません!」
顔を真っ赤にして拒絶する医師。指先がわなわなと震えている。
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