12日(金)。昨日はまだ風邪が抜けきれず体調不良だったので午前中はベッドに寝転んで、クララ・ハスキルの弾くモーツアルトのCDを聴きながら新聞や本を読んで静かに過ごしました 午後コンサートがあるので体力を温存しておこうというわけです ということで、わが家に来てから502日目を迎え、狭いところで委縮するモコタロです
おいらは 狭いところが好きなんだよ
閑話休題
ということで、昨日は午後3時から上野の東京藝大奏楽堂で東京藝大チェンバーオーケストラ第26回定期演奏会を聴きました プログラムは①メンデルスゾーン「弦楽のためのシンフォニア第10番」、②モーツアルト「フルート協奏曲第1番ト長調K313」、③メンデルスゾーン「交響曲第4番イ長調”イタリア”」です 演奏は、フルート=高木綾子、管弦楽=東京藝大チェンバーオーケストラで、指揮者なしでの演奏です
全自由席ですが、開場時間の2時半には長い行列が出来ていました。それでも1階18列11番、左ブロック右から2つ目の席を確保できました 祝日の昼間で入場料が1,500円とあって老若男女を問わず文字通り満席状態です
1曲目のメンデルスゾーン「弦楽のためのシンフォニア第10番」は、作曲者が12~15歳の間に作曲した12曲のシンフォニアの中の1つです お大臣のメンデルスゾーン家では、その頃、隔週日曜日に「日曜音楽会」が開かれており、そこで初演されました
弦楽奏者のみ25人が登場します。ヴァイオリン・セクションは立って演奏します。男子学生はヴァイオリンとヴィオラに各1人、チェロとコントラバスに各2人の計6人のみです。コンサートミストレスは武田桃子さんです
コンミスの合図でアダージョの序奏から入りますが、メンデルスゾーンらしい躍動感あふれる音楽に移ります 若い演奏家たちによる若きメンデルスゾーンの作品の溌剌とした演奏で、とても良かったと思います
2曲目はモーツアルトの「フルート協奏曲第1番ト長調K313」です この曲は1777年の年末にマンハイムに滞在した時に、フルート愛好家の裕福なオランダ人医師フェルディナント・ドジャンからフルート協奏曲3曲とフルート四重奏曲2曲の作曲を依頼されたうちの1曲です モーツアルトはその当時 音程が不安定だったフルートを良く思っていなかったようで、ドジャンの要求すべてに応えることが出来ませんでした もっとも、旅先でアロイジア・ウェーバーに熱を上げて作曲に身が入らなかったことも原因の一つと考えられているようです(結局彼はアロイジアに振られて、その妹のコンスタンツェと結婚することになるのですが)。
ホルン、フルート、オーボエが各2人が加わります。高木綾子が空色のステージ衣装で登場、後ろを振り返って第1楽章の冒頭部分を指揮し、会場の方を振り返ってフルートの演奏に入ります モーツアルトってなんて軽やかなんだろう、と思います。高木綾子による終盤のカデンツァは鮮やかでした
休憩後は、メンデルスゾーンの「交響曲第4番イ長調”イタリア”」です コンサートミストレスが三輪莉子さんに代わります。この人はどこかで見たことがあると思ったら、1月11日に上野学園石橋メモリアルホールで開かれた「プロジェクトQ・第13章」でモーツアルトの「弦楽四重奏曲第22番変ロ長調」を弾いた「クァルテット・ジョイア」のメンバーです。ということは彼女は藝大の大学院生です
同じメンデルスゾーンでも「交響曲」を指揮者なしで演奏するというのは、どんなものでしょうか しかも学生オーケストラが
クラリネット、トランペット、ファゴット、そしてティンパ二が加わりフル・オーケストラの形をとります。三輪さんの合図で第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」が開始されます 冒頭からイタリアの明るい空が広がるような爽やかな演奏が展開します。一転、第2楽章は厳かな雰囲気を醸し出します。そして、第3楽章は弦楽合奏が美しいメヌエットです 第4楽章は激しく踊り狂うようなプレストです。メンデルスゾーンはこの楽章を「今まで作曲したもののなかで最も愉快な曲」と姉宛の手紙に書いています
メンデルスゾーンの曲は、この曲や弦楽八重奏曲などのように、前へ前へと前進する推進力の魅力に溢れていますが、この日の指揮者なしでの藝大チェンバーオーケストラの演奏は、若さ溢れる素晴らしい演奏でした
若者たちはアンコールに第4楽章のプレストを演奏し、満場の聴衆から拍手喝さいを浴びました