人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ガルシア=マルケス 中短篇傑作選」を読む ~ 「大佐に手紙は来ない」「この町に泥棒はいない」「純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語」ほか

2024年08月26日 00時01分03秒 | 日記

26日(月)。予定では、昨日10時半から東劇で「METライブビューイング・アンコール2024」のうち、ベッリーニ「夢遊病の女」を観る予定でした しかし、朝から腰痛が厳しいので諦めました 特にベッドから起きあがる時と立ち上がる時に激痛が走ります 上映時間が約3時間なので、ここで無理をすると痛みが長引く一方です 今が我慢のしどころです 9月16日(月・祝)10時半の部もあるので、そちらを観ようと思います

ということで、わが家に来てから今日で3513日目を迎え、毎日新聞が24,25の両日実施した全国世論調査によると、9月の自民党総裁選で選ばれてほしい人は、1位が石破茂元幹事長(29%)、2位が小泉進次郎元環境相(16%)、3位が高市早苗経済安全保障担当相(13%)だった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     いくら人気があっても 実力がない政治家はダメだ  世界を相手にするんだからね!

         

「ガルシア=マルケス  中短篇傑作選」(河出文庫)を読み終わりました ガブリエル・ガルシア=マルケスは1927年コロンビア生まれ。1955年に長編「落葉」でデビュー 67年に世界文学の記念碑的傑作「百年の孤独」を発表し、「ラテンアメリカ文学ブーム」を主導する 他に「族長の秋」、「予告された殺人の記録」など多数。82年ノーベル文学賞受賞 2014年没

     

本書には次の10作品が収録されています

「大佐に手紙は来ない」(中編)

「火曜日のシエスタ」(短編)

「ついにその日が」(短編)

「この町に泥棒はいない」(中編)

「バルタサルの奇蹟の午後」(短編)

「巨大な翼をもつひどく年老いた男」(短編)

「この世で一番美しい水死者」(短編)

「純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語」(中編)

「聖女」(中編)

「光は水に似る」(短編)

作品数が多いので、中編2作品についてご紹介します

「大佐に手紙は来ない」は、軍人恩給支給の知らせを待つ大佐の話です 大佐は知らせが来ないと生活費を賄う収入がないので、飼っている軍鶏を売ろうか売るまいかと迷うが、タイミングを計って売ることにする 今日食べる物がない!と切れた妻が「何を食べるの?」と問い詰めると、彼は「糞食らえだ(mierda)」と吐き捨てる、というオチが待っています 英語でいう「shit」ですね💩 大佐の焦燥感や生活苦の”やるせなさ”を描いているかと思うと、最後にダジャレのような台詞で肩透かしを食らう この作品は、「百年の孤独」(P583)に書かれている「文学は人をからかうために作られた最良のおもちゃである」という言葉を思い出させます

「この町に泥棒はいない」は、マッチョな若者ダマソと年上の妻アナの物語です ダマソがビリヤードのボールを盗んでくると、アナから返すべきだと言われる 迷っているうちに何の罪もない黒人が犯人として逮捕されてしまう ダマソは人の目を盗んでボールを返しに行くが、店の主人に見つかってしまう 彼は現金を盗んだ事実はないのに、店の主人から「盗んだ現金も返せ」と言われ、唖然とする この話は、元々現金はなかったのに店の主人がダマソをひっかけて「ボールを盗んだのだから現金も盗んだんだろう ボールを盗んだことを黙っててやるから金を払え」と言っているのです この話はビリヤードのボールを盗まざるを得ない貧しい若者の生活実態など、暗い世相が描かれています

「純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語」は、ガルシア=マルケスが少年時代に見かけた、祖母らしき女性に連れられて各地をめぐる11歳の少女娼婦の姿に強い印象を受けたことからインスピレーションを得て書いた物語です ここでは少女を14歳に設定しています。祖母は少女に売春させながらカリブ海沿岸の砂漠地帯を巡っていきますが、オランダ人の密輸業者の息子ウリセスがエレンディラの前に現れ、お互いに惹かれ合うようになります エレンディラはウリセスに「祖母に酷使されて疲れた 自分を愛するなら祖母を殺せるはず」と迫ります 紆余曲折があり、彼は祖母を殺しますが、エレンディラは彼を残して 祖母が身に着けていた金の延べ棒入りのチョッキを持って一人走り去って行くのです このストーリーは抑圧者である祖母から自らを開放する少女の物語とも解釈できます

以上のほか、短編も味わいのある作品が揃っています 本書は巻末に「解題」が掲載されており、各作品の背景や内容を簡単に解説しているので、作品理解に役立ちます 「百年の孤独」を読んだ人にも、これから読む人にもお薦めします

     

     


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