7日(土)。風邪を引いたのか喉が痛い 昨夜、コンサートから帰ってきて風呂に入り、就寝前に体温を測ったら37.6度あった もう風邪に間違いない 今日は1日中寝ていることにしよう それじゃ、いつもと同じだけど
ということで、わが家に来てから今日で3525日目を迎え、「『いいね』を押すだけ」「スタンプを送るだけ」といった、すき間時間に簡単な作業で稼げるとうたい、逆に送金を要求されるなど、副業に関するトラブルが増加していると国民生活センターが4日、注意を呼びかけた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
楽にお金を稼げる仕事はないと肝に銘じるべきだ 詐欺を仕掛ける奴は監獄に行け!
昨日、夕食に「青椒肉絲」「生野菜サラダ」「山芋の味噌汁」を作りました 「チンジャオロースー」は牛肉を使いましたが、美味しく出来ました
昨夜、東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第372回定期演奏会」を聴きました プログラムはブルックナー「交響曲第8番 ハ短調」(第1稿・新全集版 ホークショー校訂)です 指揮は常任指揮者・高関健です
この曲はアントン・ブルックナー(1824-1896)が1884年から87年にかけて作曲した全4楽章形式での最後の完成した交響曲です 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ・モデラート」、第3楽章「アダージョ:厳かにゆっくりと、しかし引きずらないように」、第4楽章「フィナーレ:厳かに、速くなく」の4楽章から成ります
柴田克彦氏は「プログラムノート」で次のように解説しています
「本作は、1884年7月に作曲が開始され、翌1885年8月にスケッチが終了。その間に第7番の初演が大成功を収めたことからブルックナーも自信を持って筆を進め、最終的には1887年8月10日に完成された これが第1稿である ブルックナーは敬愛する指揮者ヘルマン・レヴィにスコアを送ったが、『演奏不能』と否定的な返事が返ってきた 落胆したブルックナーはレヴィや弟子のヨーゼフ&フランツのシャルク兄弟の勧めに従って改訂に着手、1890年3月に新たな稿を完成させた これが通常演奏されている第2稿である」
「『第8番の改訂は、演奏されるためになされた妥協の産物で、当時自らの創作に自信を持っていた(第5番~7番は改訂を行っていないし、第4楽章を『私の生涯で最も優れた音楽』と自認していた)ブルックナーの本意ではない すなわち第1稿こそ作曲者本来の意思やヴィジョンを反映したものである』といった見方も根強い」
また、高関健は「第1稿・新全集版ホークショー校訂について」の中で次のように述べています
「『第1稿』と『第2稿』を比べると、音の選択や和声進行、表情や強弱など細部にわたる違いがある しかし改訂される以前の楽想に かえって魅力を感じることもあり、実に興味深い テンポの設定を変えて演奏する必要もあるだろう。『第1稿』をあらためてよく知ることで、第8交響曲をより深く理解、表現の充実に利することも多いと考える これこそが今晩初めて『第1稿』を演奏する最大の目的である」
上記の2人の解説を頭に入れて、演奏を聴くことになりました
高関健のブルックナーということでか、会場はほぼ満席です
オケは14型で左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置 ステージ下手にはハープが3台スタンバイします。コンマスは戸澤哲夫です
高関の指揮で第1楽章に入ります 冒頭から谷あかね率いるホルン・セクションが素晴らしい演奏を展開します チェロとコントラバスの低弦の分厚い演奏が印象的です 本多啓佑のオーボエが冴えています いつも聴いている第2稿では、この楽章の最後は息絶えるように終わりますが、第1稿ではフォルティッシモで力強く終わったのでビックリしました 第2楽章ではホルンと弦楽器の渾身の演奏が素晴らしく、固いマレットで打ち込まれるティンパニが心地よく響きます 中間部のトリオの音楽は初めて耳にするフレーズでしたが、これも第1稿によるものです 第3楽章はハープ3台と弦楽セクションのアンサンブルが天国的に美しく、ブルックナーの敬愛する神への捧げもののように感じます ホルンやテューバなど金管楽器が重厚感溢れる演奏を繰り広げます 高関の指揮は地に根が張ったような安定感のあり、ブルックナーの指示通りの演奏であることが分かります 印象的だったのは、頂点で鳴らされるシンバルの数です 第2稿では2発ですが、この日聴いた第1稿では6発が華々しく鳴らされました 第4楽章では、冒頭から分厚いブラス・セクションと弦楽器の渾身の演奏が光ります フィナーレはオケ総力を挙げてのアグレッシブな演奏が展開、音の大伽藍を築き上げました
満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました 高関は、譜面台上の分厚い第1稿のスコアブックを軽く叩き、「第1稿に拍手を!」を言わんばかりの仕草を見せました
演奏開始は19時06分、終演は20時34分。演奏時間はプレトークで高関氏が語っていた、ゲネプロ時の時間と全く同じ88分でした 私は、ここに高関氏の職人技を見ました
なお、各楽章の演奏時間は私の時計で第1楽章=17分、第2楽章=16分、第3楽章=25分、第4楽章=28分でした
演奏を振り返ってみると、終始 集中力に満ちたアグレッシブな演奏で、弛緩するところが全くありませんでした 滅多に演奏されない版での演奏は新鮮でしたが、ブルックナーらしさは変わりませんでした 東京シティ・フィルの歴史に残る名演奏と言っても過言ではないでしょう