17日(水)。昨日の朝日新聞朝刊のコラム「新聞記者の文章術」は吉田純子編集委員による「『音楽』を書くこと 3」でした 2009年9月18日付の朝日夕刊に掲載された、バレエダンサー、シルヴィ・ギエムへの吉田さんのインタビュー記事を取り上げています
そして、インタビューを記事にする際の留意点や醍醐味について次のように書いています
「録音しているからOK、ではなく、口調やテンションの変化、身ぶりも含めたたたずまいに心を研ぎ澄ませ、この人の本心を宿す言葉はどれか、どう捕えばそれが伝わるかなどと自問することに、インタビューという仕事の奥深さと醍醐味があります」
それを踏まえて吉田さんは、3回目の文章術として「話を聴くときは、言葉そのものだけではなく、相手の話し方や空気にも心を研ぎ澄ませる」を掲げます
私流に解釈すれば、「人の話を聴くときは、言葉のニュアンスを掴むことが大切であり、それを文章にするときは、相手の言葉に含まれる本心を探りながら表現すべきである」ということになるでしょうか
ということで、わが家に来てから今日で3382日目を迎え、トランプ前米大統領による元不倫相手への「口止め料」をめぐる刑事事件の公判が15日、米ニューヨークで始まり、トランプ氏は裁判所内で報道陣を前に「かつてない政治的迫害だ。これは米国への攻撃なのだ」と起訴を批判して法廷に入った というニュースを見て感想を述べるモコタロです
「これは魔女狩りだ」から「これは米国への攻撃だ」に 言うことが偉大になったね
昨日、夕食に「茄子と鶏の炒めもの」「生野菜とアボカドとワカメのサラダ」「シメジの味噌汁」を作りました また、今回初めて十五穀米を炊きました 「茄子と~」は久しぶりに作りましたが、ピリ辛で美味しかったです
便利なもので、こういうのが売っているんです コープで1袋88円でした
昨日、早稲田松竹で森達也監督による2023年製作映画「福田村事件」(137分)を観ました 早稲田松竹で映画を観るのは2月5日以来です。「月」との2本立てですが、腰痛悪化を回避するため1本だけ観て帰ってきました
1923年、澤田智一(井浦新)は教師をしていた日本統治下の京城(現・ソウル)を離れ、妻の静子(田中麗奈)とともに故郷の千葉県福田村に帰って来る 澤田は日本軍が朝鮮で犯した虐殺事件の目撃者だったが、静子にはその事実を隠していた その年の9月1日、関東地方を大地震が襲う。多くの人々が大混乱となり、「朝鮮人が略奪や放火をした」「朝鮮人が集団で襲ってくる」などの流言飛語が飛び交う中、不安に駆られる人々は自警団を結成し、朝鮮人と見做した人を殺害するようになる。そんな最中の9月6日、香川から関東へやってきた沼部新助(永山瑛太)率いる薬売りの行商団15名は、次の地に向かうため利根川の渡し場に向かう 沼部と渡し守の田中倉蔵(東出昌大)の小さな口論に端を発した行き違いにより、興奮した福田村自警団の集団心理に火が付き、後に歴史に葬り去られる大虐殺が起こってしまう
この映画は、「i 新聞記者ドキュメント」など、数々の社会派ドキュメンタリー作品を手がけてきた森達也が自身初の劇映画作品として、関東大震災直後の混乱の中で実際に起こった虐殺事件「福田村事件」を題材に撮った作品です
事件は、駐在所の巡査が行商団の素性を本署に確かめに行っている間に起こりました 映画では福田村の村長が「本署での事実確認が取れるまで、勝手な行動は慎んでくれ」と止めますが、行商団の人たちの讃岐弁がよく聞き取れず「やっぱり朝鮮人ではないか」と疑いをかけ、澤田夫妻ら何人かの村民が「この人たちは日本人だ。冷静になるべきだ」と宥めるのも聞かず、次々と襲い掛かり、こども3人を含めて9人が殺されるに至ったのです
大災害が起こる時、こうした流言飛語や偽情報が飛び交うことは、この事件に限らずよくあることです 当時の情報伝達手段は「口コミ」がほとんどでしたが、現在はSNSが瞬時のうちに事実もフェイクニュースも広めます 今年早々の能登半島における大地震においても、過去の大震災の動画が流されたり、被害者を装って寄付を募ったりする悪質な情報が流れました 実害がないから良いという問題ではありません
この映画を観て一番印象に残ったのは、地方新聞社の若い女性記者の報道姿勢です 彼女は自分の目の前で若い朝鮮人の女性が自警団によって殺されたことから、これを事実として報道したいと上司に訴えます 「真実が報道できなのであれば、いったい何のために新聞記者はいるのでしょうか」という言葉が心に迫ります
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