21日(水).わが家に来てから今日で813日目を迎え,ベルリン中心部で19日午後8時頃,大型トラックが買い物客で賑わうクリスマス市に突っ込み,少なくとも12人が死亡,48人が重軽傷を負ったというニュースを見て 感想を述べるモコタロです
いつ どこで なにが起こるか分からない 世界は怖い! 日本は高齢ドライバーか?
閑話休題
昨日は,勝浦在住の大学時代の友人S君が送ってくれたサンマを焼きました あとは「トン汁」と「生野菜とサーモンのサラダ」です.サンマは本当に美味しかったです.持つべきものは友だちです
も一度,閑話休題
来年2月22日(水)午後7時から東京芸術劇場コンサートホールで開かれる「大阪フィル 第50回東京定期演奏会」のチケットを買いました プログラムは①ショスタコーヴィチ「交響曲第11番ト短調”1905年”」,②同「交響曲第12番ニ短調”1917年”」です
指揮は首席指揮者の井上道義です
先日,井上+N響で第11番を聴いて,意外に良かったので12番ともども聴いてみようかと思いました
最後の,閑話休題
佐藤正午著「事の次第」(小学館文庫)を読み終わりました 佐藤正午は1955年 長崎県生まれ.1983年に「永遠の1/2」で第7回すばる文学賞を受賞して作家デビュー,「身の上話」でブレイクしました
この本は,「寝るかもしれない」「そのとき」「オール・アット・ワンス」「姉の悲しみ」「事の次第」「言い残したこと」「七分間」の7つの物語による連作小説ですが,1997年に刊行された「バニシングポイント」を改題して文庫本として出された作品です
中年のタクシー運転手が抱える3つの秘密を巡る「寝るかもしれない」,妹のせいで結婚できない35歳の美容師の恋を描いた「姉の悲しみ」,妻の浮気相手と対峙するため新聞記者が拳銃を手に入れる「事の次第」など,夫婦間,恋人間など,それぞれの事情を抱えた男女の行方を描いています
「おやっ?」と思ったのは,巻末の「解説」を,先日当ブログでご紹介した「書くインタビュー(① ②)」で,メールのやり取りだけで佐藤正午氏にインタビューした東根ユミさんが書いているのです その中で,東根さんは実際 会ったこともない佐藤正午氏にメールで「正午さん」と呼びかけたことに対し,「気安く呼びかけるのはやめてもらえないでしょうかね.気味が悪い
」「正午さんと呼ぶな
」と罵倒されたことを書いています.メールのやり取りをしているうちに,鋭い質問を浴びせて佐藤氏に黙認されるまでに至るわけですが,彼女のどこまでも食らいついていく根性がそれを可能にしたのだと思います
さらに彼女は書きます
「毎日まいにち一人で原稿と向き合う孤独,小説家の悲しみを,私はここで考えずにはいられません 小説家はありえたかもしれないもう一つの人生を書いています.いくつものモチーフをずっと大切に抱え続けて書く手間と向き合い,いくつもの人生を過ごすに等しい時間を間違いなく送っています.つまりは登場人物たちの人生に潜んでいるいくつもの秘密をもまた,小説家は長い時間をかけて一身に背負っていることにもなります
」
「書くインタビュー」を読んだことのある人なら分かると思いますが,佐藤正午という小説家は小説を書くことに対して極めて厳格で真面目です 東根さんの言葉を借りると「書く手間と向き合う」ということで,ひと言でいえば「一字一句について,推敲に推敲を重ねる」小説家です
そうしたことを踏まえて,東根さんは「一人で原稿に向き合う孤独,小説家の悲しみ」と表現したのだと思います
そういう意味では,この「事に次第」と「書くインタビュー」の両方を時間を置かずに読んだ方が,佐藤正午の小説を理解するには役立つかもしれません