雑誌「dancyu」の記事を読んで以来、ツレの憧れとなっていた
こちらの名店が、この旅の最終目的地だ。
もちろん予約済みなので焦ることはないのだが、大阪からの所要時間が読めなかったことと、
道に迷うこともなかったので、11時には谷間の一本道のほぼ行き止まりまで来ていた。
電柱に取り付けられた小さな看板と表札だけが、この民家がお目当ての店であることを示している。
しばらく外のベンチに腰掛けて山を眺めたりしていたが、強い日差しに堪らず、引き戸を開けて中に声をかけると、
対応に出てきてくれた娘さんが、「こちらでお待ち下さい」と三和土に設けられた囲炉裏端を示してくれた。
今は見かけなくなった
鴨居造りの木造建築を眺めていると、料理の準備ができたのだろうか、「お好きなところへ」と案内される。
どうやら、この時間帯は私たちだけが、お客のよう。こんなに広い座敷を独り占めとは、実にリッチな気分だ。
席に着くと、揚げ蕎麦と黒豆茶が供された。丹波といえば、やっぱり黒豆かなどと思いながら、揚げ蕎麦をポリポリ。
鴨汁にも変更できたが、おろしそばで注文。ベルギービールなどもメニューに書かれていたが、ノンアルコールをチョイス。
漆塗りのプレートに、箸と箸置きが整然と設えられ、さあコースの始まりだ。
黒塩が載ったトマトジュース ノンアルコールビールは多分キリンフリー!?
20種類はあるだろう地物の焼き野菜 火が通っているはずなのにコリコリとした食感がいい
(実は、奥さんがひとつひとつ丁寧に説明してくれたのだが、覚えきれなかったので名前は失念)
籠に敷いた笹の上には、鹿肉2種、鰊の梅煮、キュウリの花などの盛り合わせ 野かんぞうの佃煮も
十割蕎麦 とても綺麗な更科だが、姿からは想像できないようなコシ・噛み応えあり
飛び鉋模様の皿には、梅干と蕗の煮物 梅雨時には酸っぱいものを
蕎麦寿司ではちょっと珍しいと思える手巻き 穴子と錦糸卵とキュウリ入り
熱々の蕎麦掻きは、シンプルに山葵だけでいただいた
粗挽き蕎麦は、ほとんど塩でいただいたが、ツユは十割が本枯節なら、こちらは焼き節とか
織部の器に入った、かぶ・にんじん・さつまいも等の冷製蒸し野菜はレモン風味
とろろとおろしから選ぶことができたので、私達はおろし(辛味大根)を選択 ツユは粗挽きと同じ
残った2種類のツユを蕎麦湯で割って吟味 自家製いぶりがっこと糠漬けなどをアテに
蕎麦湯に梅干を浸していただくのは、初めての経験だ
最後のデザートは、蕎麦饅頭と蕎麦茶
全て完食したものの、野菜と蕎麦のイメージしか残っていないので、バランス的には少々疑問を感じるが、
素材そのものを生かした料理と、とても素敵なおもてなしで、いつの間にか2時間もの時が過ぎていた。
久しぶりに仕事から開放され、実にまったりとして心豊かな時空の旅を味わえたことに感謝。
食事を終えて帰ろうとする私達を、見送りに出てこられた店主にご挨拶もできたし、
ツレはちゃっかり記念撮影にも収まっていたので、さぞいい記念になっただろう(笑)
ろあん松田 (そば(蕎麦) / 篠山市その他)
昼総合点★★★★☆ 4.0
辞去した後、立杭まで移動し「陶の郷(すえのさと)」にて丹波焼を30分ほど見学。
あとは名古屋まで、高速道路をひとっ走りするのみだが、 I'm tired.