一昨年の12月でした。所用で立ち寄った西新宿。途中にある地域猫が溜まり場にしている駐車場。
この辺りの地域猫たちは警戒心が強く、興味本位や単なる猫好きには近寄ろうとしません。近づくのはご飯をくれる「猫おばさん」(もちろん若い方も男性もいますのでこの呼び方は俗称です)だけ。
そんな中で、ある日、見慣れない小柄な猫が足元に近づいてきました。茶と黒のシマ模様で、長いシッポがちょっとセクシーです。「えっ!」と驚いて、しゃがみこむと前足を人の膝に乗せ、緩慢な動きで膝に乗っかってきました。そして、ずーっと昔から僕の膝の上にいたかのように、丸くなっていつまでも動こうとしません。
僕はしばらく足の痺れを我慢しつつ、そのまま背中をなでると「ゴロゴロ…」っと喜んでいる様子。
しばらくして、抱き上げて膝から降ろしたら、降ろした場所で丸くなっています。
「じゃあね。もう行くからな」
こう別れを告げたときの、ちょっと人の顔を見上げた悲しそうな顔が、印象に残ってしまいました。
数日後、また駐車場へ。どうにも、あの猫のことが忘れられなくなっていました。
すると、先客に猫おばさんがひとり。僕が気にかけている例の猫を膝に乗せると、猫おばさんがいろいと話をしてくれました。
「この猫、女の子でね。最近まで飼われていたんだけど、飼い主が亡くなっちゃたんですって…。それでこの駐車場にいるんだけど、ここも再開発で近々整備されるって言うし、この猫たちはどうなっちゃうのかしらね」
この話を聴いた数日後、東京に大雪が降ります。「この雪の中、あの猫はどうしてるだろう…」なんて考えたら、翌日にはいてもたってもいられません。すでに年末休みに突入していたため、自宅からカバンを持って西新宿の駐車場へ。ついに、連れてきてしまいました。連れてカバンに入れて帰る瞬間、目に入った電柱の住所を示す「西新宿×‐×」の文字。
「西新宿で拾った女の子だから、名前は西子だ。よろしくな西子、これから仲良くやっていこうね」
カバンに入れた瞬間は驚いて鳴いていましたが、その後は電車の中でもおとなしく一声も発しません。それが余計に哀愁を誘います。
しかし、こうした一連の仕草は西子の「猫カブリ」だったことを、家についた瞬間に思い知らされるのでした。
この辺りの地域猫たちは警戒心が強く、興味本位や単なる猫好きには近寄ろうとしません。近づくのはご飯をくれる「猫おばさん」(もちろん若い方も男性もいますのでこの呼び方は俗称です)だけ。
そんな中で、ある日、見慣れない小柄な猫が足元に近づいてきました。茶と黒のシマ模様で、長いシッポがちょっとセクシーです。「えっ!」と驚いて、しゃがみこむと前足を人の膝に乗せ、緩慢な動きで膝に乗っかってきました。そして、ずーっと昔から僕の膝の上にいたかのように、丸くなっていつまでも動こうとしません。
僕はしばらく足の痺れを我慢しつつ、そのまま背中をなでると「ゴロゴロ…」っと喜んでいる様子。
しばらくして、抱き上げて膝から降ろしたら、降ろした場所で丸くなっています。
「じゃあね。もう行くからな」
こう別れを告げたときの、ちょっと人の顔を見上げた悲しそうな顔が、印象に残ってしまいました。
数日後、また駐車場へ。どうにも、あの猫のことが忘れられなくなっていました。
すると、先客に猫おばさんがひとり。僕が気にかけている例の猫を膝に乗せると、猫おばさんがいろいと話をしてくれました。
「この猫、女の子でね。最近まで飼われていたんだけど、飼い主が亡くなっちゃたんですって…。それでこの駐車場にいるんだけど、ここも再開発で近々整備されるって言うし、この猫たちはどうなっちゃうのかしらね」
この話を聴いた数日後、東京に大雪が降ります。「この雪の中、あの猫はどうしてるだろう…」なんて考えたら、翌日にはいてもたってもいられません。すでに年末休みに突入していたため、自宅からカバンを持って西新宿の駐車場へ。ついに、連れてきてしまいました。連れてカバンに入れて帰る瞬間、目に入った電柱の住所を示す「西新宿×‐×」の文字。
「西新宿で拾った女の子だから、名前は西子だ。よろしくな西子、これから仲良くやっていこうね」
カバンに入れた瞬間は驚いて鳴いていましたが、その後は電車の中でもおとなしく一声も発しません。それが余計に哀愁を誘います。
しかし、こうした一連の仕草は西子の「猫カブリ」だったことを、家についた瞬間に思い知らされるのでした。