ある日曜日。夫婦でお出かけ。
僕が前から気になっていた、ご近所で「里親募集」の張り紙をしている建物の前を通りかかったときのこと。
「ねぇ、ここで『里親募集』してるの知って…」
と水を向けた僕の言葉を最後まで聞かないうちに「ごめんくださーい」と、引き戸を開けて中に入るパートナー。
内心「えー、入っちゃったよ」と戸惑いつつ、仕方なく後追いました。
入るまで知りませんでしたが、そこは中野区や渋谷区で猫の保護活動をしている有名なNPO団体。中にはたくさんのケージと、足元をうろうろするにゃんず。
スタッフの方が、それぞれの猫たちを紹介してくれました。数多くのにゃんずの中で、とりわけパートナーの心を鷲づかみにしたのが、小顔でスリム、そして手足の長い「ワオン」という生後6カ月ほどの女の子にゃんこ。とにかく元気いっぱいに遊びまわり、猫も人間もまったく怖がる様子がありません。
「来週、譲渡会です」というスタッフの言葉を聞き、その日は帰宅して検討を開始。
「キジロウも、若い女の子が来たらきっと嬉しいよ」とパートナー。
「そうかな、自分の地位を脅かされるのを嫌がるかもよ」と僕。
僕は、人(猫?)一倍甘えん坊でさびしがり屋のキジロウが、同居の猫を受け入れることができるのか不安でした。
しかし、パートナーはどうにもワオンが気になるようで、慎重派の僕にその後もワオンの受け入れを主張します。僕は、結論を急がないほうがいいと考え「とりあえず、来週の譲渡会に」ということでいったん検討を終了しました。
そして迎えた翌週。譲渡会に出向きます。手続きをとれば、いつでも譲渡してくれるそうですが、広く呼び掛けて行う譲渡会は月1回実施しているとのことでした。
このため、このときまでにワオンに里親さんが見つかっていたら、パートナーもいったんは諦めるだろうと思っていました。