金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

依頼のあった本格的な繕い その3

2014-05-17 18:18:38 | 磁器の繕い例
姫路の方から依頼のあった大きな花器の本格的な繕いが、金繕いの部分は一応完了しました。

呂色漆を塗って、数日置いた状態です。
すでに漆は乾いています。
ナイロン袋で湿気を保っていたので、漆が他の部分についてしまっていましたね。


水ペーパーできれいにして。


今度は艶黒漆を置いていきます。



そして、金の丸粉をたっぷりと蒔いていきます。
消粉とは違い、漆の中までしっかり入っていきます。


金粉が蒔き終わった状態。
このあと、再度数日間湿気のある袋で漆を乾燥させて。


そして、粉固めの工程です。
生漆をテレピンで薄めたものを塗って、また1日ほど乾燥です。


そして、いよいよ最終工程。
水ペーパーで軽く表面を整えた後、木綿布でしっかりと磨いて。


最後に鯛の牙で磨きます。


終了です。
蘇りましたね。


でも、今回の繕いでは、底がとても薄いので、今後もトラブルのないように補強してほしいという要望ですので、また別の工程を用意しました。
すでに麻布とアラルダイトで内部の底は、補強していますが、こんな手立てを考えました。

磁器ですので、半磁土を用意して(私は磁土は持っていませんので)。


底の形状に合わせて成形しました。



そして、しっかりと乾燥させて、取り出したものがこれです。
今度はこれを焼成して、補強材として接着させる予定です。
そうすれば底の強度は、完璧となるでしょう。
この部品に白マットの釉薬も施して、色目もピッタリとさせましょう。
素焼きと本焼きの機会は、まだ先ですので、完成まで今しばらくかかります。
これがうまくいけば、とても面白い。
こんな繕いの方法は、今まで聞いたことがありませんね。

続・大きな花器の繕い

2014-05-07 10:56:41 | 陶器の繕い例
「新うるし」の色合わせで、一応終了していた花器の繕い。

連絡を取ると、金粉で仕上げて欲しいとのことで、再度仕上げをトライです。

色合わせだと、よく見ないと繕っているのが分からない。
金粉で蒔くと、「金繕いしていますよ」と目立つ。

まさに「隠と陽」の関係だ。
どちらを好むかはその人次第なのだ。

それで、先ず「新うるし」を施した表面を水ペーパーで整える。


そして、今回は「新うるし」の黒ではなく、本漆の「艶黒」を使いました。


このあと、金の消粉を真綿を使って蒔いていきます。
この状態で2、3日ムロで乾燥です。


そして、最後に仕上げ。
余分な金粉などを除いてきれいにして仕上げです。
消粉ですので、鯛の牙で磨いたりはできません。
この赤っぽい花器には、予想通り金色が良く映えます。


アップして。


さあ、届けましょう。