「平和を実現する」 マタイによる福音書 5章1~12節
山上の説教の最初の段落は、「天の国」において賞賛される事柄が数え上げられているように思います。それは、地上において苦しみを負った人たち、人を愛して生きた人たち、平和のために闘った人たち、義のために迫害を受けた人たちが、「天の国」においてどのような賞賛を受けるのかという内容であるように思います。「平和を実現する人々は、~神の子と呼ばれる。」という教えも、地上において「神の子」と呼ばれるというよりも、「天の国」で「神の子」と呼ばれて賞賛されるということの方が理解し易いような気がします。
山上の説教の最初の段落は、確かに「天の国」において賞賛される事柄が数え上げられていますが、「天の国」で賞賛されるためには、この地上でどのような生き方をしたのかが問われるものではないかと思います。言い換えれば、山上の説教の始めの段落は、イエスさんが「天の国」で賞賛される事柄を人々に予め示し、「天の国」で賞賛されるにふさわしい地上での生き方はこうであると確認し、苦しんでいる人たち、人を愛して生きている人たち、平和を実現するために闘っている人たちが、希望を見失ってしまわないように励まし、迫害を受けても心が折れないようにするための教えではないかと受け止めたいと思います。