先日亡くなったゴジラ対へドラの監督・坂野義光は坂野監督自ら
脚本を書いたわけだが、共同で書いているのが馬淵薫である。
ゴジラ対へドラは坂野義光が最初で最後に脚本&監督を担当した
作品だが、共同脚本を書いた馬淵薫はコレが最後の脚本になってい
るだけでなく奇しくも30年前の5月に亡くなっているのだ。
馬淵薫といえば昭和30年代までは木村武の名前で脚本を書いて
おり作品的には空の大怪獣ラドンからスタートし、地球防衛軍に
美女と液体人間やガス人間第1号にマタンゴのような変身人間シリ
ーズに、妖星ゴラスやフランケンシュタイン対バラゴンにサンダ
対ガイラなどがある。
面白いのがラドンは村田武雄とサンダ対ガイラや怪獣総進撃は
本多猪四郎監督と、ゴジラ対へドラは坂野義光との共同脚本なの
だ。
東宝特撮映画の脚本といえば大怪獣バランでスタートしキング
コング対ゴジラをはじめとしたゴジラシリーズで、ゴジラ対ガイ
ガンまで担当した関沢新一が有名だが馬淵薫との2枚看板で支え
ていた感じだ。
関沢脚本は最初は人類側と怪獣側でそれぞれ物語が別々に進行
して行き途中から話が合流するパターンが多いのに対し、馬淵脚
本は全くブレずに突き進む形で物語が進んで行くのが特徴だ。
先述したように馬淵作品は監督などとの共同脚本が多いのに対し
関沢作品は単独脚本ばかりなので、こういうのも特徴だろう。
馬淵薫と関沢新一脚本の違いが分かるのが単なる宇宙人の侵略
モノとしては地球防衛軍と宇宙大戦争、侵略者と地球側が怪獣を
使って戦う作品では怪獣総進撃と怪獣大戦争を見比べると面白い
と思う。
こうしてみると馬淵薫と関沢新一のどちらかが抜けても日本の
特撮映画は味気ないものになっていただろう。