‘ボクシングの日’に思う事

 昨日5月19日は今から61年前に後楽園球場で白井義男がダド・マリノに判定
勝ちして日本人初の世界王者に輝いた日を記念して2010年にファン
感謝イベ
ントを始めたので世間に認知され始めている。


 30年程前の専門誌で山本茂氏が連載したカーン博士の肖像という読み物の
中に当時の状況が記されているが、当時は世界王者が8人だった時代なので
世界タイトルの価値も今とは比べ物にならないぐらい高かったし日本のボク
シング界にとって世界王者誕生というのは長年の悲願だったというのが分かる。

 だからこそダド・マリノ-白井義男戦は後楽園球場特設リングに4万人もの
大観衆が詰めかけたのだろう。

 忘れてはならないのがアルビン・カーン博士が白井に教えた事が現代でも
遜色がないぐらい優れているし、肉を切らせて骨を絶つような‘殴り合い’から
打たせずに打つスポーツへと進化させた事が日本に世界タイトルをもたら
した
と思う。


 にも拘わらず未だにボクシングのスポーツ化を否定し‘倒すか倒されるかこそが
魅力なのに’などと語る者が意外にいるのが信じられない。


 61年経って世界王者は8人から最低でも(単純に17階級×4団体で)68人は
存在する時代になったので世界タイトルの価値は低下しているのは事実だが、
海外のリングでも もはや世界タイトルは関係なく本当に強い者同士の戦いという
のが主流になっているし その流れが日本にも波及している。


 だからこそラスベガスで世界戦を行った西岡利晃が賞賛されるのに対し、弱い
相手ばかり厳選して世界王者ならではの技巧やパワーを全く感じさせず
負けない
試合ばかりを重ねて悦に入っている者はボクシング好きの間からは
全く無視され
る時代になっている。


 WOWOWなどで世界のビッグマッチがリアルタイムで見られる時代に自称世界
王者がTV局と結託して勝ち続けて行っても誰も評価しないわけだ。

 そういう時代だからこそボクシング界も5月19日を迎える度に白井義男の偉業を
称えると共に白井と
カーン博士が蒔いた種=本当の意味での世界王者を1人でも
多く育てようと
いう志を守って欲しいと考えるのだ。

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