上原康恒‘デトロイトの奇跡’から40年

 今から40年前の日本時間の今日80年8月3日にデトロイトで行わ
れたWBA:Jライト級タイトルマッチで、1位の上原康恒が10度防
衛中の王者サムエル・セラノを6Rに右フック一撃で逆転KO勝ちし
タイトルを奪取した日である。

 試合は長身アウトボクサーのセラノが左ジャブを中心とした攻撃
で上原の突進をかわしてポイントをピックアップして5Rまで進み、
このまま150ー135負けかと思われた展開だったが6Rに上原が左2発
でロープに追い込むと右が見事にヒットし見事なKO勝ちとなった。

 セラノは4か月前の4月に上原のライバルで日本一のテクニシャン
といわれたバトルホーク風間に完勝しているのを考えると、パンチ
力こそ上回るものの完封されるだろうと思ったしデトロイト開催で
は厳しいと思ったのだが今にして思うとデトロイト開催だからこそ
勝てたと思うのだ。

 上原は73年11月に当時WBC王者だったリカルド・アルレドントに
ノンタイトルで快勝したものの74年8月にWBA王者のベン・ビラフ
ロアにハワイで挑戦し2RKO負けでタイトル奪取に失敗。

 その後は日本タイトルを保持しながら挑戦の機会を窺うが強打者
という事から1位に昇格しながらも挑戦がなかなか決まらず、本来
なら上原の挑戦を受けなければならない時期に風間の方が先に挑戦
するなど不遇をかこっていた。

 王者陣営は当初プエルトリコ開催を主張し途中から2試合分防衛
戦興行権の差し押さえを条件に日本開催を言い始めるのだが、1位
での挑戦のアドバンテージがなくなるため上原陣営は拒否するなど
交渉は難航していた。

 上原も30歳になるため前回の挑戦が敵地だった事から年齢的にも
ラストチャンスだから日本開催に拘っている足元を見た王者サイド
のしたたかさを実感したのだが、
そこに8月2日にデトロイトで行わ
れるWBAウエルター級タイトルマッチ&ライト級タイトルマッチと
抱き合わせた形で行うという話が舞い込んだ。

 王者としてはプエルトリコよりもアメリカ本土の方が稼げるため
自分を売り込むチャンスと考え、上原サイドも完全敵地ではないと
いう事から ようやく挑戦が決まっていた。

 ただし王者はアメリカに売り込む野望があったので5Rまで一方的
にリードしても‘どうせ勝つならストップ勝ち’を狙って上原を痛めつ
けに入ったところにもらった一撃だったので、日本だったら完全に
ポイントアウト作戦に嵌った可能性が高く(実際翌年4月ん再戦では
その通りに…)アメリカ開催ならではのタイトル奪取だったわけだ。

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