【BOX】穂積、再起戦声援の心境明かす「プロとしての仕事はできてないのかな」
5月9日に1年ぶりの再起を果たした元WBCバンタム&フェザー級
王者・長谷川穂積が再起戦で観客から防御を重視するスタイルを
肯定された事について複雑な心境を語っているようだ。
対戦相手のオラシオ・ガルシアは かなりの強敵だっただけで
なく足の負傷を抱えての再起戦だったし、約1年前の世界戦で
無理な打ち合いを挑んでダウンを喫した末にTKO負けした姿が
ファンの記憶に新しいので余計に‘打ち合うな’的な声援が
飛んだのだろうと思う。
長谷川穂積という選手は10年前にウィラポンからタイトルを
取るまでは防御が巧く相手の長所を消してしまうスタイルだった
ので、逆にV6戦あたりから倒しまくる姿に逆に不安を覚えたクチ
だった。
結局あの時期はボクシングがK-1など他の格闘技に押されていた
事から日本のエースとして勝つだけでなく、相手を倒してファンを
喜ばせるスタイルを目指してのものだったのだろう。
そのために長谷川は自らロープに下がってパンチを打たせて、
かわしざまにカウンターを打ち込んで倒すというスタイルを度々
見せていたのだが昨年4月のキコ・マルチネス戦はコレに拘って
敗れた典型だった。
つまり長谷川は相手のパンチをかわしながらカウンターを決める
というスタイルに拘泥していたのが敗因で、ウィラポンからタイ
トルを奪取した頃のようなスタイルに戻せないのなら引退もやむを
得ないと考えていた。
ところが再起戦で見せた長谷川のスタイルはウィラポン戦以前の
戦いぶりで観客も長谷川が再起するには かつてのスタイルに戻す
しかないと考えて‘打ち合うな’の声援だったのだろう。
つまり長谷川がもう1度世界王者に返り咲くにはKO勝ちよりウィラ
ポン戦以前のスタイルに戻す必要があったわけだが、それは同時に
自らの衰えを認める事になるので長谷川にとってはつらいものだ
ろうが今をときめくフロイド・メイウェザーもこの倒すよりも打
たせないスタイルで勝ちを重ねている。
それを考えるとKOは一切考えずに判定で勝つ事のみを追求する
スタイルで戦う事こそ世界王者に返り咲くためのポイントでは
ないだろうか。