先日も扱ったのだがソチ五輪のノルディック複合NHで銀メダルを
獲得した渡部暁斗に対し解説の荻原健司が自分の全盛時でも今の
渡部には勝てないという旨の発言をしていたのが印象的だった。
たしかに渡部はジャンプで100m前後を飛べるしクロスカントリー
でも外国の強豪相手に競り勝てるだけの走力を持つわけで、荻原の
コメントも十分的を得ているし他の競技でも かつてのメダリスト達が
現役の選手達を絶賛しているケースが殆どだ。
ところが日本のプロ野球の場合はOB達が現役選手に対して自分
達の方が凄かった的なコメントが多い。
野球という競技は他の競技に比べて記録の価値自体がアバウトだし
現役選手に‘それぐらいで満足するな’という意味でのコメントなら救い
はあるのだが、あまりにも自分達の時代を美化し過ぎて競技自体の
レベルを上げようという気がないのは問題だ。
何の競技でも記録は常に進化するので陸上の100mで64東京
五輪の世界記録が未だに残っていたら全く魅力はない。
ただし64東京五輪の頃に比べればトレーニング方法だけでなく履く
スパイクやトラックの質も変わっているわけで、ボブ・ヘイズがウサイ
ン・ボルトに‘我々の頃と同じ環境で記録を出さないと認めない’とは
言わないだろう。
ところが日本のプロ野球界では400勝投手が‘今時の投手は分業
化しているだけでなく球数制限まであるのはたるんどる、オレらの頃
は連投など当たり前だったからダルビッシュや田中達にそれができ
るか‘的なコメントをよく聞くしマスゴミもその言葉の方をありがたが
っている。
よくしたもので昨年ウラジミール・バレンティンが王貞治の年間ホー
ムラン記録を抜く時に最も嫌がったのが400勝投手達の世代なのだ。
マスゴミも王の記録を神聖にして侵すべからず敵菜アンタッチャブル
なものに祭り上げてしまっていたのだが、50年近く記録が破られてな
かった異常さに触れるメディアは少なかった。
つまり日本プロ野球はレベルの進化よりも現状維持をよしとする価値
観の下で運営されているように見える。
ただし他の競技と比べると異常な話で昨今人気低下が声高に言われ
るのもスター選手のMLB流出が原因ではなく、球界をあげてレベル
アップさせようとしてないのが最大の原因で今のままでは人気は停滞
どころか先細りしていくのは目に見えている。