先週NHKのBSプレミアムで4話に亘ってOAされていた怪奇大作戦ミステリー
ファイルが終わった。
最終EPの深淵を覗く者は予告編を見た時点ではオリジナルの‘かまいたち’を
髣髴させていたし、実際に冒頭のシーンでは21世紀の‘かまいたち’か?という
感じでOPには「上原正三・かまいたちより」とクレジットされていたのでリメイク的
なEPだと思っていたら いい意味で期待を裏切られた。
オリジナルの‘かまいたち’は真空切断機を使って若い女を無差別に殺害して
いく話で、犯人の小野松夫は近くの工場に務める工員で間違っても人殺しなどに
縁がなさそうなタイプにも拘らず殺人を犯したという罪の意識や動機も一切ない
という一般市井の者による動機なき不条理殺人というのがテーマだった。
ただ牧が殺害現場にいた松夫の写真を見て犯人と直感し周囲の反対意見が
ある中で、最後は さおりを囮に使って逮捕するという展開だった。
ところがミステリーファイルでは殺害の仕方が最初こそかまいたち現象を起こした
ものの次は電子レンジの原理で、3人目は人間を炭化させるという手口で殺人を
重ねていくし最終的に犯人は焼身自殺するので正体や動機が不明なままだ。
今回はオリジナル同様SRIと警察が対立関係にあるという要素が出てくるし、
何より牧自身も一歩間違えれば犯人と同じタイプというのが描かれている。
もっとも牧の場合は的矢所長をはじめとしたSRIの仲間達がいるからこそ優れた
頭脳を犯罪トリックを暴くために使われているのに対し、犯人の場合は孤独な男
ゆえ優れた頭脳を悪用していたように見える。
以前ウルトラマンの最終回に登場しウルトラマンを倒したゼットンを帰ってきた
ウルトラマンの最終回に登場させた上原正三は金城哲夫が作ったアプローチと
正反対の切り口で作って行ったという話があったのだが、今回の深淵を覗く者は
オリジナルの‘かまいたち’を牧の内包した狂気の部分にスポットを当てるという
上原正三とは違う切り口で作った作品ではないだろうか。