大事なのは視聴率より観客動員

 早いもので日本武道館を満員札止めにしたバンタム級王者同士のビッグ
マッチだった長谷川穂積-フェルナンド・モンティエル戦から 1ヶ月以上
経ったが、今でもボクシング好きのお客さん達とは その試合の話で持ち
切りになっている。

 ただし残念な事に長谷川-モンティエル戦は視聴率的には伸び悩み
2桁を越えなかったらしい。

 一方で3月に行われた亀田興毅-ポンサクレック戦は1万人収容の有明
コロシアムに1900人しか入らなかったが、視聴率的は かつて程ではない
ものの それなりの数字を出している。

 では観客動員とTV視聴率、どちらの方が重要なのだろうか?

 5月17日に私が観戦した さいたまスーパーアリーナのWBA Sフェザー級
王者・内山高志の防衛戦も視聴率的には苦戦したが、収容人数7000人の
コミュニティアリーナながら6100人の観客を集め、素晴らしい雰囲気の中
での一戦だった。

  いずれの会場でも日本が誇る長谷川・西岡・内山といった世界王者の
勝利を祈って観戦している観客ばかりで本当にボクシングが好きなファン
達が固唾を呑んで見守っているというムードがビリビリ伝わってきたし
 長谷川-モンティエル戦などWOWOWでOAされているビッグマッチと遜色
ない雰囲気だった。

 つまり彼等の試合は‘金を出してでも見たい試合’というわけだが亀田の
試合の場合はどうだろう?

 ‘アンチもファンのうち’とは言うように亀田の試合にチャンネルを合わせた
人達は純粋に亀田を応援しているだけでなく今度こそ亀田が負けるシーンを
見たいと思って見ているケースもありタダで見られるTV中継は見ても
‘金を出してまで’という心理にはならないのではないか。

 そもそも視聴率とは不安定なもので特にボクシングの場合は早いラウンド
で終わるケースが多々あり、特に今回の長谷川の試合のようにボクシング
好きが TVの前に座れない19:00に放送が始まり4Rで終わるとガックリきて
チャンネルを替えてしまうというケースは多かっただろう。

  一方の亀田-ポンサクレック戦は当初バンクーバー五輪の再戦となった
女子フィギュアスケートの世界選手権の裏番組だったが、視聴率を考えて
フィギュアスケートが終わった時間帯に試合開始時間を変更しているという
事を忘れてはいけない。

 昨今のスポーツイベントは放映権料が高騰したおかげで視聴率が優先し、
観客動員は二の次的な思想が蔓延っている。
 6月4日に行われたW杯前最後の強化試合の岡田ジャパンとコートジボ
アールの試合など典型的ではないか!  

 かつて他の球場がデーゲームでもジャイアンツだけはナイターで行われる
のが当たり前だったし それが当然だと思っていた。

 しかし最近はジャイアンツ戦の視聴率が悪いというのもあるが、球場で
観戦するファン・特に家族連れの事を考えると翌日が休日ではない日曜日の
試合などはデーゲームの方がありがたいという事でジャイアンツ戦が定番の
ナイターではなくデーゲームで行われているケースが目立つ。

 これなどは視聴率より会場に足を運んでくれる観客相手を大事にすると
いう原点に立ち返ったという事で、有意義だと思う。

コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (吉法師)
2010-06-07 23:22:19
たびたび例え話に引用しますが、白井義男さんの現役時代、世界タイトルマッチは観客の収容能力を考慮して、全て後楽園球場など屋外の野球場で行われていました。
ある防衛戦の際にカーン博士は白井義男さんに「ヨシオ、今日の試合を見に来た人々には、リングサイドの高い席で見る人も居れば、スタンドの高い所の安い席から見る人も居る。しかし、君が現役を終えた後に、今日の試合の事を覚えていて、長く君のファンで居てくれるのは、きっとあの一番安い席から熱心に見てくれる人々だよ。その事を肝に銘じて戦いなさい。」
会場に足を運んでくれる、それもなけなしのお金を握り締め、たとえ一番安い席からであっても、熱心に見てくれる人達こそが、プロスポーツを支えてくれる事の大切さを正しく理解していたカーン博士、本当に素晴らしい指導者だったのだと思います。
 
 
 
有名な話ですよね (こーじ)
2010-06-08 23:12:05
>吉法師様
 これは有名な話ですし、私の大好きな話の1つになってますよ。

 白井義男氏は94年にホールで観戦した時に記念撮影を頼むと、関係者との話をさえぎって私との撮影を優先してくれたのが印象深いです。
 そのときの事を記してますので、
http://blog.goo.ne.jp/ue-kj/e/3c19af913b8eeb70765a918c7af7f9ec

 宜しければ読んでみて下さい。

 
 
 
 
おっと、既出でしたね(^^; (吉法師)
2010-06-09 20:56:51
こちらにお邪魔するようになったのは、ここ一年半位でしたので、既出とは気付きませんでした。

しかし、本当に素晴らしい教えですし、それを終生守り続けた白井さんも素晴らしいお方でしたね。
TBSのボクシング解説陣も最近は…トホホな状況ですが、具志堅さんが解説に加わっていた時は、普段の天然ボケ風の口調とは裏腹に、的確な解説をしていましたが、その際にガチャガチャした泥試合的な展開になると「もっとボクシングして欲しいですね。」と白井さんの言葉を簡略化した言い方をしていた事を覚えています。具志堅さんの現役時代、試合後にダウン後の加撃などに苦言を呈していた白井さんの教えをしっかり受け止めていたと言う事なのでしょう。

現エンゼルスの松井秀喜が巨人に入団した際、当時の長嶋監督は「松井には日本のジョー・ディマジオになって欲しいんだ。皆に愛され、夢を与えられる名選手にね。松井は足も速い(当時、100mを11秒台)し肩も強い(遠投110m)だろう。だからサードも良いけど、ディマジオみたいな華のある外野手にしてみたいんだよ。」こう言って、松井をサードからセンターにコンバートしたのだそうです。そして、ファンを大事にする事、サインには出来る限り応じる事等を指導したのだそうです。
去年のワールドシリーズMVP獲得を誰よりも喜んだのが長嶋さんだったとの事、日本でもアメリカでもファンから愛される選手になった裏には、このような事があったんですね。ちなみに長嶋さん自身が、プロ入りの際に決意した事も「ディマジオのように、ファンに愛され、夢を与えられる選手になろう。」だったそうです。私の少年時代、後楽園球場で、目の前でサヨナラヒットを打ってくれた長嶋さん、ここ一番で必ず期待に応えてくれる本物のスーパースターでした。

他には、日ハムのダルビッシュもファン、特に少年少女のファンを大切に扱う事では定評があります。札幌ドームの日ハム戦などいつも満員近い観客動員を続けていますが、ファンを大切にするこう云う姿勢の賜物といえるのでしょうね。
 
 
 
いえいえ、どうしいたしまして (こーじ)
2010-06-10 00:18:18
>吉法師様
 ホント亀田チャンネルは具志堅が退いた後の解説者は、みんな酷いですよね。
 いい伝統を断絶させてます。

 これからの野球は外野手が主役というのを見抜いていた長嶋監督の先見の明も素晴らしいですよ。
 にも拘わらず‘サードはスターのポジションなのに’などと抜かす無能評論家が多いのは困りものですよね。

 特に昨今は地域密着型が当然ですから、一般のファンを大切にという姿勢はより一層求められるでしょう。

 こんな拙ブログですが、これからもよろしくお願いします。
 
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