地球防衛軍の残したモノ

 3日連続で地球防衛軍のネタで申し訳ないが、今回まで地球
防衛軍を取り上げる。
 というのも地球防衛軍は東宝が作った初の宇宙人による侵略
モノである事、それまでの東宝作品では54ゴジラ、55ゴジラの
逆襲、56空の大怪獣ラドンと怪獣モノが続いていたのだ。
 この作品の優れているのは、侵略宇宙人&彼らが操る怪獣or
ロボットという図式。侵略の尖兵として登場する怪ロボット・
モゲラがそれである。
 地球側も通常兵器で攻撃し通用せず超兵器を投入という後の
ウルトラセブンに引き継がれたパターンの元祖でもあるのだ。
 侵略者第1号であるミステリアンは火星と木星の間にある小惑
星帯・アステロイドベルトがかつての太陽系第5惑星で、核兵器
により自らの星を滅ぼして放浪している。
 これはある意味バルタン星人のパターンではないか。
 しかもミステリアンは放射能ストロンチウム90のため生れて
くる子供の80%は異常児なので捨ててしまう。
 このままでは滅びかねないので健康な地球の女性との結婚を
認めろという要求をしてくるのだが、滅び行く民族というとこ
ろではウルトラQのケムール人やセブンのワイルド星人のパタ
ーンなのだ。
 そして優れたミステリアンの科学に魅せられた平田昭彦演じ
る天才科学者・白石亮一は「地球を支配するのは人間でもミス
テリアンでもない、科学だ」という科学者としての純粋な信念
でミステリアンに協力するものの、結局ミステリアンから騙さ
れていた事に気付き内側から破壊工作をして要塞を破壊する。
 これはマッドサイエンティストものの要素でセブンのプロテ
星人に代表されるパターンなのだ。
 ちなみに平田昭彦は本多ー伊福部コンビの最終作であるメカ
ゴジラの逆襲で自らを学会から追放した人類に対する復讐心と
侵略者・ブラックホール第3惑星人の優れた科学に魅せられて
侵略者に協力する真船博士を演じている。
 巨大なパラポラ兵器であるマーカライトファープ3台をミステ
リアン要塞の近くまで運ぶのに三段ロケットで飛ばすというアイ
ディアも秀悦でこのロケットを発射するシーンはウルトラマンの
4話・大爆発5秒前の冒頭に木星探査ロケットとして流用されてい
るのだ。
 シーンの流用といえばミステリアンの要塞攻撃の戦闘機が発進
するシーンや離脱して攻撃に入るシーン、また戦車隊が発砲する
シーンは前年のラドンと共にウルトラQで流用されているし、モ
ゲラ迎撃に向う自衛隊のシーンは他の映画でも流用されている。
 こうしてみると現在の特撮モノの元祖になっている要素がふん
だんに含まれているのがよく分るだろう。
  
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
大人な・・・・ (りょうころり)
2007-04-20 21:21:39
 『信念』『裏切り』、今では作られることのないであろう、大人なSF映画なのですね、2度ほど見たことがあるのですが『どのシーンが良かった』と言えるほど、覚えていないので今度レンタルしてみようかと思います。

 静かなところでゆっくり見たいんですけどね・・・
 
 
 
書き込み御礼&レス (こーじ)
2007-04-20 23:29:48
>りょうころり様
 思いっきり大人向けですよ、アラがあるのは仕方ないけど57年に製作されたとは思えない名作です。
 ただ当分はじっくりと見る機会がないでしょうね。
 
 
 
つい・・・ (りょうころり)
2007-05-04 17:34:06
 ゴールデンウィークだが我が家では外出の計画もなく、私自身も今日は何の予定もなかったので、仕事帰りに天神のベスト電器に立ち寄った。
 ・・・で、つい見つけてしまいました、・・・で、つい買ってしまいました。・・で、見ました。
 
 あぁ、東宝特撮だ、地球の危機が迫っているのに、なんか牧歌的なムードが出てはいたが、昔見たときは全く気づかなかったマーカライトファープのかっこよさや、ダイナミックな合成・画作り、お話も本当に無理がなく、買ってよかったと思えた。

 お風呂の白川由美はファンサービスだと思います。それにお風呂の窓から見たモゲラ、アレは良かった。
 
 
 
それはよかったです (こーじ)
2007-05-04 22:23:48
>りょうころり様
 昭和32年作品なので突込みどころはいくらでもありますが、完成度が高いでしょう。
 白川由美の入浴シーンは当時としてはあれが限界だったでしょうね。
 
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