井上尚弥 1回戦は元WBAスーパー王者パヤノと対戦 WBSS組み合わせ決定
日本時間の今日未明にモスクワで行われたワールド・ボクシング・
スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級の組み合わせ抽選会で、
日本から参戦しているWBA王者・井上尚弥の初戦の対戦相手が元
WBA王者ファンカルロス・パヤノに決まった。
このイベントはシード選手が自ら対戦相手を選ぶというドラフト
方式で井上、ライアン・バーネット、エマニュエル・ロドリゲスに
ゾラニ・テテの4人の王者がシードされ、指名試合のロドリゲス-
モロニー戦以外は第1シードのバーネットから対戦相手を選んだ中
で井上は第2シード。
第1シードのバーネットがドネアを選んだ後に井上がパヤノを選
んだわけだが、バーネットが選んだノニト・ドネアは最大フェザー
級にまで上げて戦っていたため今回は久しぶりのバンタムになるだ
けでなく前戦でも敗れているのでローリスク&ハイリターンの相手
という事。
一方で井上が選んだファンカルロス・パヤノは元WBAバンタム
級スーパー王者で山中慎介と激闘を演じたアンセルモ・モレノから
タイトルを奪取しているのだから、ある意味ドネア以上の実力者と
いうのが分かるし常に強い相手を求める井上に相応しい相手ではな
いだろうか。
こうして見ていると最近のボクシング界は団体の枠を越え‘誰が
一番強いのか’という価値観の基で動き始めており、選手達もそれを
望んでいるようで今回のトーナメントにも実力者が揃った感じだ。
それに引き換え日本のボクシング界で相変わらず幅を利かせてい
るのが‘具志堅越え'の価値観でWBA:Jフライ級タイトルの防衛
回数13度を誰が越えるかというものだが、具志堅の時代は世界王
者が28人だったのに対し今では最低でも68人はいるわけでタイ
トルの価値観も低下しているし当然ながら挑戦者の質も低い。
そういう噛ませ犬挑戦者相手に防衛回数を増やしても王者のモチ
ベーションを失わせボクシングを錆付かせるわけで、王者にとって
大した価値はないのが実情だ。
ジムのオーナーや地上波TVの関係者にとって‘具志堅越え’は
確かにうま味があるのだろうが、志の高いボクサーにとっては意味
のないものになっているだろうから井上が何としても優勝してこう
いうイベントに日本のボクサーが出場しやすいムードを作って欲し
いものだ。