早いもので井岡一翔がオーレドンをKOしてプロ入り7戦目でWBCミニマム級
王者になってから1ヶ月になる。
さて今回の井岡の戴冠試合で改めて感じたのが実況である。
解説者の名前を見ると おなじみの某兄弟御用達コンビになっていたので例に
よって井岡のヨイショ解説になるのかと暗澹たる思いで音声を消して見ようかと
思ったのだが、意外にもゲスト解説に香川照之の名前があったので音声を消
して見るのを控えた。
そして それは大正解だった。
香川照之は芸能界きってのボクシング通というのはボクシング好きには周知の
事実で、WOWOWの看板番組であるエキサイトマッチでゲスト解説をしても
殿堂入りしたジョー小泉や浜田剛史に勝るとも劣らない知識で喋っているのを
何度も見ている。
そういうわけで期待して見たのだが解説そのものが的確で、決して井岡のみを
贔屓する事なくオーレドンのいい所もしっかり伝えていたので聞きやすかった。
思えば我々が見てきたボクシング中継では郡司信夫と白井義男という評論家
と元選手の2枚看板か、元選手の辛口側と応援側に分かれていた。
例えば‘小林弘や海老原博幸は採点が甘いので勝ったと言ってもアテになら
ない’とか‘白井義男や矢尾板貞夫は日本選手に辛口の採点をするので彼らが
勝ったと言えば何とか大丈夫’などという判断ができたのだ。
ところが最近の世界戦は元世界王者ばかりの解説になり某兄弟の試合に代表
されるような露骨な日本人贔屓の解説が増えているし、ラウンドマストシステムで
採点できないため相変わらず10-10のラウンドを付けたりしていたのでWOW
OWエキサイトマッチ基準で見ている我々にとってはもの凄い違和感があった。
それが某兄弟の試合を中継している局の実況ですら目利きの香川照之が解説
しただけで全然雰囲気が変わってしまうのだから、いかに目利きの解説者がいる
事が大事か分かるだろう。
そういえば大相撲中継では芸能界きっての好角家であるデーモン小暮のゲスト
解説が好評で、北の富士や舞の海らを凌ぐ知識は秀悦だ。
その道のOBの経験論も必要だが、OBではない目利きの人材を登用する事も
これからの中継では必要になってくるのではないかと思うのだ。