ミラーマンに登場する敵・インベーダーは作品の前半では基本的に喋らない
のが特徴だった。
ウルトラシリーズの侵略者は しっかり喋っていたし、エースの異次元人・ヤプ
ールも喋っていたのに対してインベーダーは全身黒づくめのコスチュームで光に
弱いためサングラスを装着しているというだけでも独特の雰囲気なのに4話まで
は喋らずに目配せなどで行動していたため不気味さに拍車がかかっていた。
これは前半のメインライターである若槻文三の姿勢だろうし視聴者の年齢層が
上がり侵略者の不気味さを強調する場合は効果的だと思う。
2話で占拠したマンション内でサングラスをかけた男女が話し合っていて他の
人達が来るとサッと壁に潜ってみたり、10話で日野が勝ち誇ったように御手洗に
電話をかけていた時にも側で悠然と座っていたり・・・・本当に不気味な雰囲気
だった。
最初にインベーダーが喋ったのは5話の山奥に出てきた のっぺらぼうの老人
姿で‘ここから先は人食い鳥が住む地獄谷’と警告するシーンぐらいで、それ
以外は7話までインベーダーが喋る事は なかった。
もっとも8話では母親の事で京太郎の心理に揺さぶりをかけないといけない
ため、喋ってはいるが(しかも声はショッカー首領の納谷吾郎)あくまでテレパ
シーでの事。
そういう意味では9話でSGMに脅迫電話をかけてきた事で京太郎以外の地球
人がインベーダーの声を初めて聞いた事になるだろう。
中盤からは それまで自らの存在を隠蔽する形で暗躍していたインベーダーが、
反動のように喋りまくるのは前半の独特のムードが好みの者にとっては違和
感が拭えなかった。