

太元導師と私は、要柱である結界石の前に立つ

太元「まずは、儂がこの結界の術式を再構築して
今のこの国に合うように強化する

お前さんは、その後防毒の結界と
反射の結界を上乗せしてくれるか

透明「わかりました

太元「簡単に返事ができるというのは、
凄いことじゃよ

言っているとわかる要望なのじゃが

あやつらが、お前さんを寄こした
理由がわかるわい

太元導師は、そこから一言も声を発することなく
黙々と作業をこなしてゆく・・・。
先程私を褒めてくれたが、正直この老人が
おこなっていることの方が驚愕に値する


透明「(なんて速さだよ

自負していたけど、こんなの見せられたら
私もまだまだだと痛感させられる・・・。
まあ、それと同時にワクワクしているんだけど

術者としての可能性

教えてもらえるのはありがたい

私の気も最高潮に高まってきた

太元「よし



透明「了解です

結界を紡ぐ際、最初に紡いだ結界の糸を
そのまま解けないように受け継ぎ、そこに
上乗せをしなければならない

もし、受け渡しが上手く行かなければ、
構築した結界は糸がほぐれるように崩壊し
また1から組み直さなければならなくなる・・・。
私は、慎重かつ繊細に、渡された結界の
続きを受け取り、術式を編み込んでゆく

太元導師が結界を強化し始めてから1時間程

透明「・・・ふ~~~っ


どうですか



太元「・・・

ようやく、一息つくことができる


太元「さて、次に行くぞ

透明「えっ


太元「理想は、今日で全ての三柱を終わらせたい

ダメでも今日中に2つは終わらせるぞ

透明「ま、マジですか

なんてタイトスケジュール


そんなわけで、休憩することもできず、
もと来た道をひた走りに帰って行く




隼子「お、お帰りなさい



太元「おお


透明「はぁはぁはぁはぁ



私達は急いで、次の現場へ・・・

車中、何故か導師に褒められた言葉が、
師匠に褒められた時のように嬉しく感じられていた

続く・・・。







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