1996年の初演以来、上演のたびに高い評価をいただき、次回の上演で東京6演目を迎えるミュージカル「ひめゆり」。太平洋戦争末期の沖縄で犠牲となったひめゆり学徒隊の悲劇を、全編歌で綴るポップ・オペラ形式のミュージカルとして描き、戦争の悲惨さと命の尊さを力強く歌い上げたミュージカル座の代表作です。再演のたびに脚本と音楽、演出に手が加えられ、堂々としたスケールの大作へと進化して来ました。「レ・ミゼ ラブル」「ミス・サイゴン」等の音楽監督をつとめる山口也と、ミュージカル座代表のハマナカトオルが、使命感を持って創り上げた日本のミュージカルです。迫り来る戦争の恐ろしいリズムと、乙女の美しいアリアが交錯する舞台は、悲劇に向けて一直線に突き進み、奇跡的に生き残った学徒の少女によって、生きている感動のフィナーレへと高鳴って行く。ミュージカルというジャンルだからこそ表現できた音楽と演出の迫力が、実話であるという重みと、実力キャストの圧倒的な歌声と共に胸に迫るミュージカルです。
昭和20年(1945年)、25万人以上の犠牲者を出した沖縄戦から、65年を迎えました。国内唯一の地上戦であった沖縄戦の特徴は、軍隊と一般民衆が、一緒に戦場の中へ巻き込まれた戦争であったことだと言われています。沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高女の女子生徒も、「ひめゆり学徒隊」となって、南風原陸軍病院へ従軍看護婦として動員されました。全部で320人が戦争に直接参加。224人が戦死し、ひめゆりの塔にまつられています。本来は戦争とは無関係であるべき女子高生が、戦争の最前線に巻き込まれてしまった悲劇です。また、戦争を正当化する軍事教育の恐ろしさ、味方の日本兵でさえ住民を虐殺する殺人者に変えてしまう戦争の実相がここにあります。美しい自然にあふれた沖縄で、かつて人類史上稀に見る悲劇が起きたことを心に刻み、二度と再び繰り返さないために、戦争を語り継いで行くことが、今を生きる私たちのつとめです。終戦から65年を経たこの夏、遠くなる記憶のなかで、今一度平和への願いを込めて、このミュージカルを伝えます。(以上、ミュージカル座HPより)
行ってきました~~北千住。ミュージカル座の舞台を初体験

以前から気になる公演がありつつも行ったことはなかったので期待半分、不安半分……というのが、、、結構クセがあるというか好き嫌いが分かれる雰囲気があるかも?という話も聞いていたので

う~~ん、後者の“予感”が的中かなぁ~~舞台的には激しく微妙

いろいろと言いたいことがアレコレと
冒頭は映像で当時の時代背景やひめゆり学徒隊の基礎知識を説明。その後はひたすら歌!歌!!歌!!!全編が歌~なんて不自然な書き方(笑)……でした

劇中で歌われる音楽は一昔前のドラマあるいはアニメのサントラみたいな曲調で初めて聴くには“耳当たり”が良いというか……ちょぉ~っと醤油くさい感じはありましたが(爆!)誰だよ、これ作ったのは?と思ったら……あはは~~東宝ミューでおなじみのビリーさんこと山口也さんだったのね~~何げに意外~って感じで

やっぱりミュージカルって「舶来物」なんですよね~~音楽的な土壌はもちろんのこと、演じる者&観る者両方の中に蓄積されている文化も含めて。特にちょっと前にミュージカルコンサートで本場の方々の表現を味わっているだけにつくづく感じている今日この頃~だったのですが……ま、同じように戦争を描いたいつぞやの和製ミュージカルのような無理やり感や説教くさい流れ、ザ・演劇ちっくな主張/強調するようなシーンはなかったのは救い

あるいは西洋の猿真似としか思えない本格派ミュージカルを日本人でもできます!みたいなイタイところがなかったのは良かったかな~と。でもね~~コレ、自治体が主催するような市民ミュージカルor高校生・大学生の学生演劇なら十分すぎるほどの及第点

もしくは100万歩譲って(爆!)某劇団のファミリーミュージカルなら許せるけど、プロの舞台として観るなら激しく厳しいものがあると思いました。1つ1つの場面としては成り立っていても、作品全体として見ると、メリハリがないから音楽も演技も……って、演技というほど演じていた人は極々限られた人たちだけだったと思うけど

とにかくあれもこれも詰め込むから逆に平坦になっちゃって場面が進んでいくにつれて観るのが辛かった

例えば歌のサビの部分のみをひたすら何曲も聞かされた時のいっぱいいっぱい感みたいなのに似ているというか……な~んか前後の場面との関係やバランスを思いっきり無視した流れなんですよね~~前の場面の余韻も味わう暇がなく次に進んで、ま~た仰々しい音楽が始まるという繰り返し。それで結局のところ何が言いたいのか、伝えたいテーマは何だったのか、肝心の部分はバラバラ感いっぱいで意味不明、、、あのぉ~~全体として成り立たなければ1つの作品になり得ないと思うのですが???

足し算ばかりじゃなくて引き算をもっともっとやった方がいいんじゃないの?と声を大にして叫びたい気分になりました



平和なのか、生きることの大切さなのか、当時の玉砕が当然の風潮の悲劇なのか、ひめゆり学徒隊の年頃の女の子たちと戦争を描きたかったのか、、、何が何やら意味不明~~
思いっきり引き算しているところはありましたけどね~~描かれた時代背景の説明や演出があまりにもなさすぎ

特に気になったのが戦況が悪化して病院となっていたガマ(壕)を捨てて南に向けて逃げていく場面。最初は負傷兵を抱えながら全員で移動していっているのが戦場の混乱の中でバラバラになっていき、先生と一緒に逃げたり、日本軍の兵士たちと一緒にいたり、皆と離れて姉妹・友人同士で逃げていたりするのですが、いきなりこの状況を作っても何も伝わらないと思うんですよね。結果的に激戦地となった沖縄南部に逃げていく中で、ひめゆり学徒隊には解散命令が出る……それは自由の身になることじゃなくて、ガマから追い出されることを意味しているわけで……そういう部分もどこかで描かないと、軍曹が泣き止まない赤ん坊を殺したこと、アメリカ軍に投降するのを許さなかったこと、高い志を持って任務に就いた学徒隊の少女たちのこと等などそれぞれの場面に含まれている「意味」が全く見えなくなってしまっているのよね~~何もかも詰めが甘すぎっ
ストーリーもツッコミどころ満載

やっぱり最後でしょ~~アメリカ軍の再三の投降要求にも関わらず日本軍の兵士たちがそれを許さずアメリカ軍の攻撃を受けて逃げ込んでいた人たちは全滅……と思いきやムクッと起き上がる主人公

ひじょーに不謹慎だとは思うのですが、やっぱり主人公は生き残るのね~と生温かく見守り……さすがに252の映画の時の「ターミネーターかい?」ってツッコミはしなかったけどちょっとね~~あまりにもお約束な展開すぎて

しかもその後に亡くなった友人たちの幻影が現れ、、、カフェソングか?看護婦の白い白衣を着た婦長さん→元ファンテだから、、、エピローグのお迎えかいっ

助かった3人の女学生→ほのぼのキャラ担当……何かドラマの「大奥」に出てくるお笑い担当3人組みたい

ほっっんと、1つ1つの場面は救いようもないほど悪いわけじゃないからもう少し上手く構成できないものかなぁ~と考え込んでしまいました。
キャスト陣ですが……ハッキリ言っちゃいますが、岡さん、井料さん、優一君以外はスルーしちゃっていいような……って、それなら別にミュージカル座じゃなくても

ですよね~~いや、ホントあまりにも悲惨すぎて

学芸会じゃないんだから。小劇場系のいかにも演劇ですぅ~みたいなわざとらしさはなかったけど、ただ楽譜通りに上手に歌う……はい!拍手

ってのは勘弁してほしかったですね~~同じ学芸会なら、マジに同じ年頃の一般学生にやらせた方がよっぽどか瑞々しい素直な感性に触れられそうで良かった気がします。こんなのはプロの仕事とは言えない。。。プロたるもの、、、やっぱりこのお三方は次元が違ってました。岡さんなんて出てきた瞬間の空気からして観る者の目をひきつけているな~って感じの迫力がありました。歌もちゃんとセリフとして成り立っているし~~珍しく(爆!)ゴージャスな存在感はなくてちゃんと汚い役になってました

(フランスの警部さんは違和感があるんだけどサイゴンの軍人さんは結構好きだったのよね~♪)スポットライトの下で軍人としての志や守るべき国や家族のことを歌うソロナンバーがあって、やっぱりスポットライトを背負うのが似合う人ね~と突っ込んだ部分はありましたが←ゴメンナサイ

故郷を、国を守るある意味の優しさや強さを持っていながら、戦争の中で見失い守るべき一般人たちに牙を向けていく……沖縄戦の、いや戦争の一つの本質を表す役柄だと思うのですが、素晴らしかったですね~~井料さんはお久しぶり

もしかしてレミゼ以来

その時も苦手という程ではなかったけどビブラートがちょっと効きすぎな感じの歌が何だかな~と思うところがなきにしもあらずだったのですが、今回はとても良かったですね~~“堅固な優しさ”というのかな~~そういう大きな心が溢れた看護婦長さんの存在感と歌に感動

最初に女学生が死ぬ場面で「もう助からないから薬は兵隊さんに上げて」と言う女学生の言葉に、薬がある机に駆け寄ったまま迷っている姿には圧巻でした。その複雑な気持ちが伝わってきて……あと、自身が死ぬ場面で学生たちに生きる大切さを伝えるところもね~~未来の可能性に託す思いにウルッと

優一君は檜山上等兵役で出演。この役のバックグラウンドは分からないんだけど、もしかしてかなり勉強を積んでいる経歴を持つ役どころっぽいような

だから冷静に戦況の真相が見えている感じにも見えたんですよね~~それと他の激戦地への出征経験もある……というのはセリフの中で判明。もしかしたら負けるのは心のどこかで分かっていて、でも日本人としてのアイデンティティ?遺伝子??自分の中に存在する細胞が最後まで勝利を信じて諦めない気持ちもあって、でも戦況の悪化で諦めや自暴自棄になっている部分もあって、、、そういう正常と異常の間を行ったり来たりしている重層的な表現力が素晴らしかったですね~~最後は一緒に逃げていたキミを庇って銃撃されてしまうんだけど、その姿は「生きたかった、いや、生きたい」という、時代が許せば前向きになりたかった叫びのように思えてねぇ~~一番印象に残っている場面です。後にも先にもウルッと来たのは井料さんと優一君の二人だけ。あ、、、もう一人のメインキャストがいましたね~~知念ちゃん。当然ながら外見は全く持って申し分なし。いたかもしれないよね~~という顔つきでもあったんだけど……やっぱりじいはこの人苦手

どこまで~~~も知念里奈!なところがちょっと……そんなわけで演技もね~~歌もね~~以下自粛