夫の病院見舞い帰りには、いつも一喜一憂しているが、帰りのバスの中で
その日の夫の状態を主治医の先生にご報告する。夫の態度がこのところ
可笑しく「認知症が明らかに進行している」と痛感した。
それをバスの中でメールしていたので、バスが終点についてもまったく
気づかなかった。「お客様!」と呼びかけられ、ハッと気づいた。
すると、運転手さんが心配そうな表情で私を見ていた、「ごめんなさい」
とあわてて降りた。
気づいたら日傘がない、バスの中を調べている運転手さんに、ドアを叩いて
「すみません、傘を忘れたのですが」と言うと、すぐ持って来てくれ
「よかった」と、本当にやさしい笑顔でにっこりした。
「有難うございます、お世話をかけました」と言いながら(なんて素敵な
笑顔だろう、本当に優しい方なのだ)と、とても嬉しくなった。
暗い気持ちがほっこりした気分で、(私もいつもこんな笑顔で人と接し
たい)と感じたほど、本当に素敵な笑顔の東急バスの運転手さんで
心から感謝できた。