野口健さんの講演を聴いてきました
【野口 健】
アルピニスト。
16歳にしてヨーロッパ大陸最高峰モンブランへの登頂を果たし、
99年にはエベレスト(ネパール側)の登頂に成功し、
「7大陸最高峰世界最年少登頂記録」を25歳で樹立。
また2007年にはエベレストを中国側(チョモランマ)から登頂に成功。
(ネパール側・中国側から登頂に成功したのは日本人では8人目)
2000年からはエベレストや富士山での清掃活動を開始。
2001年には、日本隊に参加し遭難したシェルパ(登山隊の案内人・荷役人)の遺族を補償するためにシェルパ基金を設立。
更に全国の小中学生を主な対象とした「野口健・環境学校」を開校、
また2007年12月には大分に開催された「第1回アジア・太平洋水サミット」の運営委員として、「温暖化による氷河の融解」を
取り上げる先導役を務め、各国元首級への参加を呼びかけた。
現在は清掃活動に加え、地球温暖化による氷河の融解防止に向けた対策、
そして環境問題に留まらず、NGOメンバー・厚生労働省職員と共に
第二次世界大戦時の日本兵のご遺骨の収集活動にも積極的に取り組んでいる。
(公式サイト等より抜粋)
講演はとてもリアリティーのあるお話でした
現場で見た・聞いた・感じた地球の異変、実体験が生む危機感。
氷河湖決壊の危機に怯えるヒマラヤの村人たちの声を聞き、行動に移す。
その熱意はヒマラヤを抱えている国々の元首級をも動かしました。
洞爺湖サミットに向けては鴨下環境大臣(当時)を通して
福田総理(当時)へ会見し、
ヒマラヤの現状と、海面上昇の原因のひとつに大陸の氷河が溶け出し、海へ流れ出ていることなどを訴えました。
(結果、総理はすぐに氷河湖へ調査団を派遣)
講演中、野口さんは置いてあった飲み物を1滴も口にせず、まだまだ話し足りないという様子でしゃべり続けます
時には面白おかしくひょうひょうと、でもズッシリと思いが伝わってきました。
何しろ野口さんは「氷河湖が決壊すれば私達は死ぬしかない、何とかならないものか」という生の訴えを何度も聞いているのです。
これは野口さんの著書「自然と国家と人間と」にも書かれていましたが、
野口さんは「温暖化に敏感になり過ぎる」とか言われることがあるそうです。
しかし国連の「気候変動に関する政府間パネル」の2007年報告書では、
温暖化によって天然のダムの役割を果たす氷河の融解が加速すれば、アジアで7億人以上の生活が脅かされる、と報告しています。
「温暖化は本当に起こっているのか」なんてレベルの発言をする人もまだまだいますね
そういう人は、現地の人の声や体験による報告より、データ。
100%のデータしか受け入れないのでしょうか。
野口さんは仰いました。
「データを出せと言われるが、
100%の科学的根拠が出た時では遅い。
100%の科学的根拠が出るまで待つリスクと
100%の科学的根拠が出ないうちに対策をとるリスク、
どちらが高いでしょう。出るまで待つリスクです」
野口さんの活動は色々な方面で実を結んでいます。
環境学校では体験により子供達の意識が変わり、
石原都知事に東京都のレンジャー(自然保護官)制度を提案し、それも実現、
そして富士山の清掃登山では、2000年のスタート時には100人ほどだった参加者も、今では8000人を超えるそう。
活動を紹介してもらえるならと、バラエティー番組やCM出演の依頼も受け、
それまで及び腰だった山梨県と静岡県の市長や町長をも巻き込み、
その中で徐々にゴミが減り、拾うゴミが無いくらい
に綺麗になったとのこと。
でもゴミは一時は消えてもまた増える。
ひと夏で山頂に立つ登山者が、30万人。
(5合目を含めれば200万人訪れるそう)
1人が、1つずつのゴミを拾えば、30万個のゴミが無くなります。
また至る所でゴミを拾っている人を見かければ、それまで捨てていた人も捨てられなくなる。
ゴミが異常に多いことに気付いてくれる。
そんな草の根的な行動に、私も日頃のエコ意識がアップし、
元気付けられます
野口健さん著書「自然と国家と人間と」
ヒマラヤの村人は氷河湖決壊の危機に怯え、
西表島では海外から漂着するゴミが止まらない。
いまだ戦地から帰れぬ日本兵の遺骨。
野口健が現地から届ける熱いメッセージ。
環境問題だけでなく、人と人とのつながりを大事にした行動や
自分は生かされているという謙虚な生き方、勉強になります。
是非、読んでみてほしい1冊です
使っている栞は★suika★さんからの屋久島土産
野口健さん公式ブログ&公式WEBサイト