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先日、用事があって目黒へ行きました。
用件は30分ほどで済んだので、ぶらりと自然教育園へ。
十数年振りの訪問です。
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今から400~500年前は豪族の館だったそうです。その後、
江戸時代には高松藩主松平頼重の下屋敷、
明治時代には陸・海軍の火薬庫、
大正時代には白金御料地と歴史を重ね、
この間、一般の人々は中に入ることができなかったため、
豊かな自然がここに残されました。
昭和24年に全域が天然記念物および史跡に指定されると同時に、
一般公開されるようになったそうです。
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入園時にピンクのリボンを受け取ります。
これは自然保護のため、入園者が同時に300人を超えないようにするもの。
リボンを胸に着けて出発です
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園内には約8000本もの樹木が生い茂っているとのこと
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池や沼、小川もあり、多様な生態系を築いています。
超巨大なビオトープといった感じ。
ココは人の手をほとんど入れずに、自然の摂理と推移に任せた状態を維持するという方針の下、管理運営が行われています。
その結果起こっているのが、森の「昔返り」。
園内の森が地域の植生にあったものに入れ替わっているのです。
昭和24年の開園当時は、この地の前の所有者たちが植えたスギやマツがよく育っていました。
しかし、1960年代後半から70年代にかけて増えてきた酸性雨の影響で、
酸性雨に含まれるSO2(二酸化硫黄)に弱いマツやスギの多くは枯れてしまい、
森を構成する樹木はミズキやコナラなどの落葉樹に入れ替わっていきました。
そうして成長した落葉樹林が80年代後半ごろから衰えはじめ、
落葉樹の下から生えてきた常緑広葉樹のスダジイやシロダモが、現在勢力をのばしてきています。
開園からわずか50年弱の間に園内の森は、屋敷の庭として人為的に植えられたマツやスギの林が消えて、落葉樹林へ、そしてさらに常緑樹林へと代わりつつあり、あと100年も経れば、この地域本来の姿である常緑樹林に変化すると言われています(港区のサイトより抜粋)
人為的植生は人為的環境破壊で消えていき、しかし自らを本来の地域の姿に戻す自然のパワー、すごいですよね
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景観重視で手入れされ、外来種の色とりどりの花が植えられ、池には鯉が放たれ、本来の姿を失いつつある「自然風公園」が多い都会において(それはそれで大切だけど)、ココは本当に貴重な、残された自然だと思います
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たぶん、セミの幼虫が抜け出た穴
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この下には、まだ来年や再来年、6~7年先まで
羽化を待つセミがいるんですね~きっと
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