ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

ラティガン作「セパレート テーブルズ」

2011-11-12 21:04:52 | 芝居
9月29日恵比寿・エコー劇場で、テレンス・ラティガン作「セパレート テーブルズ」をみた(テアトル・エコー、演出:戸部信一)。

英国南部の海辺にある長期滞在型ホテルを舞台とする、一幕ごとに完結した二つの物語。
一幕:ホテルの食堂で、お客たちがそれぞれ別のテーブルで食事しながら会話している。そこに新しい客が入ってくる。
服装も髪型もびしっと決めたこの女性アンは女優で、このホテルに元夫ジョンが滞在していることを知ってやってきたのだが、
彼女を見たジョンが驚くと、偶然の出会いを装う。
二人の会話から次第に過去が浮かび上がってくる。上流階級の女と労働者階級の男が出会い、結婚したが、女のわがまま、
男の酒癖と暴力等々のために破局したのだった・・。
セリフの応酬だけで眼前に生き生きとよみがえる様々な情景、息詰まるほど緊迫した駆け引き・・実に巧みな脚本だ。

この戯曲を読んだ、かのローレンス・オリヴィエが、妻(ヴィヴィアン・リー)とこの二人を演じたいからスケジュールが空くまで
1年半待ってほしいと頼んだ、という興味深いエピソードが残っている由。
確かにアンは、ジョンと別れたのち別の男と再婚したもののまたも離婚し、孤独から逃れるために今や薬なしでは眠れなくなった
女優という設定なので、ヴィヴィアン・リーにうってつけの役と言える。

二幕:いくつかの筋が絡み合う。ジーンとチャールズという若いカップルに赤ん坊が生まれ、夫は医者になるべく勉学に励み、
一幕では結婚してもキャリアを積み子供はいらないと言っていた妻の方は、育児に専念している。
ポロック少佐という初老の男が何やらそわそわ落ち着かない。実は彼、先日映画館で女性に痴漢を働いた疑いで警察沙汰になり、そのニュースが新聞に
載っているのでそれを誰にも見られないようにしようとするのだが、うまく行かず、ついに皆の知るところとなる。
ついでに少佐というのも嘘だったとバレてしまう。
その時、どうもおかしいと思ったと言う人は、彼がラテン語を知らなかったことから不審に思う(この辺いかにも英国らしい)。
一人の女性客が憤慨して彼を追い出そうと皆に提案するが・・。

二つとも、いかにもイギリス人好みの芝居で、最後はほのぼのと心温まる。
いわゆる変わり者が一人二人いるが、その他の人々もみなそれぞれに個性的。
しかし役者が下手。セリフの出を間違えたり、わざとらしかったり。特に中堅の女性陣がいけない。
グラディス・マシスン役の島美弥子さんとモード・レールトン=ベル役の高橋直子さんが印象的。
ジョン・マルコム役の入江崇史は巧い。
コメント
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