ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「沈黙」

2012-03-06 21:13:30 | オペラ
2月16日新国立劇場中劇場で、松村禎三作曲のオペラ「沈黙」をみた(原作:遠藤周作、オケ:東京交響楽団、演出:
宮田慶子)。

キリシタンへの弾圧が過酷を極めていた17世紀初頭の長崎にひそかに渡った若き宣教師ロドリゴ。目の前で
村の貧しい信者たちが次々と捕えられ、凄惨な拷問を経て死んでゆくが、それを助けることもできず、神からの
救いの手が差し伸べられることもない。やがて自らも捕えられ、信者を救うためにはまず彼自身が棄教すべきだ、と
恩師フェレイラに迫られる。ロドリゴは必死に神に祈るが、神の沈黙は破られず、絶望の淵で踏み絵と向かい合う・・。

日本語上演で、かつ日本語字幕つき。というのもパードレ(神父)、ハライソ(天国)、オラショ(祈り)、
コンヒサン(告解)等々、耳慣れぬキリシタン用語とラテン語そして長崎弁がたくさん出てくるからで、この
字幕は大いに役に立った。

マカオでの神父二人の会話など、レシタティーヴォ風というのか、音の変化が少なく退屈だったが、合唱は
冒頭から迫力があり美しい。
1幕終盤、早くも涙涙・・、と思ったが、実際はここが山場だった・・。

歌手はオハル役の石橋栄実が素晴らしい。声量、表現力共に完璧。ロドリゴ役の小原啓楼もよかった。

「びるぜん(童貞女)マリアさま」という表現が字幕に出てきて驚いた。たぶんバージン(virgin)から来た語だろう。

冒頭のシーンがよく分からない。キチジローがなぜマカオに渡ったのか、それを説明してほしい(昔原作を読んだこと
があるが、忘れた)。
2幕、ロドリゴ市中引き廻しのシーンの後がもたつくのが残念。他のシーンでも、場の転換のたびに音がいったん途切れる
のが残念(これは作曲家に責任がある)。
キチジローの出番がちょっと多過ぎる。まるで彼が主役のようだ。

台本も作曲家が書いているが、ロドリゴが処刑前夜、牢で「イエスよ、あなたも処刑の前夜、牢で・・」と言うのは
おかしい。イエスは明け方逮捕され、午前10時頃に処刑されたのだから、牢で一夜を過ごしたことはない。

もう一つ、ピラトをヘロデと同じ「太って悪い男」とか何とか言うのはおかしい。百歩譲ってもしかしたら太って
いたかも知れないが、彼はイエスを処刑するのに反対したし、興奮した民衆をなだめようと骨折った人なのだから。

村松という人はこの台本を書く前に聖書、特に福音書をもっとていねいに読んでおくべきだった。
せっかくの純国産オペラなのに、そしてこんなにいい素材があるのに、これでは恥ずかしい。


コメント
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