12月12日東京芸術劇場シアターウェストで、テネシー・ウィリアムズ作「地獄のオルフェウス」をみた(tpt公演、
演出:岡本健一)。
アメリカ南部の小さな町に、蛇革のジャケットを着た若い男ヴァルがギターを手に流れ着くと、人々の満たされぬ欲望が
炎となって渦巻く。なかでも情熱をかき立てられたのは、長年愛のない夫婦生活を続けてきたレイディ・トーランス。
ヴァルとレイディが手にした愛と自由は、しかし、差別と偏見に満ちた土地では大きな代償を伴うものだった・・・。
始めの部分で、近所の女たちによって状況説明がなされるが、役者たちのセリフが早口過ぎて聞き取り辛い。いつも書く
ことだが、公演前に、誰かまだこの戯曲を知らない人に、客席に座って聴いてもらってほしい。自分たちはもうよく
知っているから、役者が雑に発声してもちゃんと聞こえてしまうのだ。
変わり者がぞろぞろ出てくる。まず自分で「露出狂なの」と認めるイカれた若い女、警官の妻でエキセントリックな絵描き
の女、ネイティヴの男もよく分からない。
レイディの夫が妻の前で、かつて妻の実家と葡萄園に放火したと言い放つのはなぜか?この男はなぜレイディと結婚した
のか?そこがさっぱり分からない。妊娠し恋人に逃げられた彼女の方は、生きるために中絶して今の夫と結婚した。が、当時
中絶はそれほど簡単なことではなかったと思うが(ここでも陳腐だが婚前交渉が災いした)。
これは、死んだ妻を救いに竪琴を手に地獄へ降りていったオルフェウスの神話をモチーフにした芝居だという。なるほどと
思うが、それにしてもあまりに救いがない。しかも後味が悪い。
1960年にシドニー・ルメット監督、アンナ・マニャーニ/マーロン・ブランド主演で映画化された由。
レイディ役の保坂知寿は声もよく、演技もうまい。
ヴァル役の中河内雅貴も好演。
演出:岡本健一)。
アメリカ南部の小さな町に、蛇革のジャケットを着た若い男ヴァルがギターを手に流れ着くと、人々の満たされぬ欲望が
炎となって渦巻く。なかでも情熱をかき立てられたのは、長年愛のない夫婦生活を続けてきたレイディ・トーランス。
ヴァルとレイディが手にした愛と自由は、しかし、差別と偏見に満ちた土地では大きな代償を伴うものだった・・・。
始めの部分で、近所の女たちによって状況説明がなされるが、役者たちのセリフが早口過ぎて聞き取り辛い。いつも書く
ことだが、公演前に、誰かまだこの戯曲を知らない人に、客席に座って聴いてもらってほしい。自分たちはもうよく
知っているから、役者が雑に発声してもちゃんと聞こえてしまうのだ。
変わり者がぞろぞろ出てくる。まず自分で「露出狂なの」と認めるイカれた若い女、警官の妻でエキセントリックな絵描き
の女、ネイティヴの男もよく分からない。
レイディの夫が妻の前で、かつて妻の実家と葡萄園に放火したと言い放つのはなぜか?この男はなぜレイディと結婚した
のか?そこがさっぱり分からない。妊娠し恋人に逃げられた彼女の方は、生きるために中絶して今の夫と結婚した。が、当時
中絶はそれほど簡単なことではなかったと思うが(ここでも陳腐だが婚前交渉が災いした)。
これは、死んだ妻を救いに竪琴を手に地獄へ降りていったオルフェウスの神話をモチーフにした芝居だという。なるほどと
思うが、それにしてもあまりに救いがない。しかも後味が悪い。
1960年にシドニー・ルメット監督、アンナ・マニャーニ/マーロン・ブランド主演で映画化された由。
レイディ役の保坂知寿は声もよく、演技もうまい。
ヴァル役の中河内雅貴も好演。